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長友佑都 10年前

抜群の安定感で確固たる地位を築いた長友佑都。ワールドクラスへ求められる“その先”

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Mitsuomi Kamio

大きく成長した守備対応

 そんな守備のシフトは、早速機能する。8分、インモービレがカウンターから裏に抜け、これをラノッキアがカバー。ボールはインテル側から見て左にこぼれ、そこにチェルチが外から中へと走り込んで来るが、これに長友がきちっと付いてカバーに成功した。

 そしてそこからもチェルチに対し、長友は良く対応した。攻め上がった後にも帰陣を忘れず、特にチェルチにボールが渡りそうな時には、担当のゾーンを素早く閉める。そしてプレスを掛けてミスパスを誘い、また自らもボールを奪った。

 周囲との受け渡しもスムーズだった。相手がウイングバックを使い、複数で揺さぶりをかけた時にはロランドが素早くチェルチを掴みに行き、長友はウイングバックへとスムーズにスイッチ。そして新加入のエルナネスも前方でしっかりとプレスを掛けてくれるので、さらに安定感のあるプレーが出来ていた。

 試合中チェルチに左の突破を許したのは、後半14分の一度のみ。それも長友が前線まで攻撃参加をした後に食らったカウンターで、さすがに戻るのは難しい状況だった。

 フィオレンティーナ戦でクアドラードへの対応のときのも感じたことだが、組織守備の際の長友のプレーは本当に上達した。マンマークを命じられたとき、その相手に付きすぎてしまいサイドを空かしたような時と比較すると、実に成長したものである。監督がマッツァーリになり、明らかにブラッシュアップされた点の一つだ。

 そしてこの日の長友は、守備に重点を置く一方で、攻撃参加も疎かにしていなかった。基本的にはスペースを空かさないことを第一とし、左に流れるパラシオやエルナネスを高速で追い越して行くようなプレー自体は少ないようにも見えたが、それでも試合全体で6本のクロスを放っている。もっともそれがFWに通り、チャンスとして実らなかったのは残念だった。

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