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長友佑都 10年前

抜群の安定感で確固たる地位を築いた長友佑都。ワールドクラスへ求められる“その先”

もはやインテルの顔となった長友佑都。先日のトリノ戦でも抜群の安定感で強力2トップを封じ、勝利に貢献した。チームの中心選手として求められるのはその先だ。

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Mitsuomi Kamio

インテリスタに歓迎された日本人ファン

抜群の安定感で確固たる地位を築いた長友佑都。ワールドクラスへ求められる“その先”
卒業旅行シーズンということもあり、サン・シーロには日本人の観戦客が非常に増えた【写真:神尾光臣】

 長友の活躍に本田の移籍、さらには卒業旅行シーズンということもあり、サン・シーロには日本人の観戦客が非常に増えた。

 そんななかトリノ戦の試合前には、日の丸のはちまきを巻いた日本人の陽気な4人組が、地元のインテリスタたちから盛んに写真撮影をせがまれていた。ミラニスタから罵声を受けたフリウリとの比較になって申し訳ないが、こちらは自然に周囲に打ち解けて楽しそうだった。

 クラブ発足から106周年の“誕生日”となったこの試合、今やキャプテンマークも巻くようになった長友も試合前にTVのインタビューに堂々と応じている。時には叩かれた試合もあったが、不断の努力で活躍をし、ここまでの立場が確立されたわけだ。あらためて、凄いことだと思わされる。

 そして試合では、EL出場権も狙えるほど好調な相手に1-0で手堅い勝利。長友自身も、安定感のあるプレーで勝利に貢献した。アグレッシブさという点では物足りなかったかもしれないが、今回はこの『安定した攻守の両立』が一つのテーマだった。

 トリノには、今やユーベのテベス×ジョレンテ組に次いでリーグ最高の2トップとも目されるチェルチとインモービレがいる。彼らの武器は超高速のカウンターだが、活かし方もまた工夫に富む。

 裏抜けが上手く、ボックス内での得点感覚があるインモービレは中央に。そして直線的な高速ドリブルと右サイドからのカットインを得意とするチェルチは、思い切り右サイドへ張らせるのだ。

 つまり長友とは、ここでマッチアップが生じる。前半戦での対決では大いに手を焼かされた相手だが、今回はしっかりと対応を変えて、動きを消していた。アウェーでの試合では、攻め上がった裏を突かれている。そのため長友は今回、守備の段階では最終ラインにぴたっと張り付いた。

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