フットボールチャンネル

Jリーグ 10年前

現在J2首位。曹貴裁体制3年目、成熟の湘南スタイル

text by Football LAB

パスの前方比率とワンタッチ比率を見ると…

現在J2首位。曹貴裁体制3年目、成熟の湘南スタイル
パスの前方比率とワンタッチ比率、キープ時間

 奪ったボールを前に運ぶ意識も、J1での経験を経て着実に強まっている。パスの前方比率は2012年の42.9%から44.3%と微増だが、5割以下だったパスのワンタッチ比率は一気に54.8%へと上昇。また、湘南の攻撃の特徴を補足するデータとして、選手のキープ時間を調べた。対象は、各シーズンで主力として出場したセンターバック、ボランチ、ウイングバックの選手。年度ごとに見ていくと、苦戦した2013年のJ1では、ボールを持つ時間が増えた選手が大半を占めている。

 J1チームとの力関係により、得意とするハイテンポなサッカーを実現できず、攻めあぐねていたことを示すデータの1つだ。それでも、戦いの場を再びJ2に移した今季は、ほとんどの選手が2012年からキープ時間が短縮。各年度で選手は入れ替わっているが、チームのビルドアップの特色は、中盤より後方に位置する選手のボールの扱い方に表れやすい。今季の各ポジションを担う選手たちの球離れの早さが、縦への推進力を増幅させていると見ていいだろう。

 2013年は厳しい戦いが続いたものの、J1を勝ち抜くために何が足りないかを1つ1つ整理できたに違いない。特に再認識させられたのはゴールを決め切ることの重要性だろう。2012年にJ2トップの66得点(1試合平均1.6得点)を記録したチームは、2013年のJ1ではわずか34得点(1試合平均1.0得点)にとどまった。それが、今季はここまでJ2トップの13得点(1試合平均2.6得点)。昨季の課題を糧に、確かな前進を見せている。

 と、言葉にするのは簡単だが、では実際にどのような変化があったのか。攻撃に関するデータをさらに掘り下げて見ていきたい。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top