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カップ戦決勝でも不利な判定。落日の元王者リヨンが失った“贔屓の笛”と新たに得た称賛

text by 小川由紀子 photo by Ryota Harada , Yukiko Ogawa

会長も激怒。疑惑のPK判定

 PSGは、前半4分、カバーニのシュートで先制した。これは、左サイドを攻め上がった左SBマクスウェルとラベッシのワンツーから、そのこぼれ球をカバーニが押し込んだ見事なゴールだったが、同じくカバーニが射止めた33分の2点目――ペナルティキック――の判定は明らかな誤審だった。

 シウバが、ゴール前めがけて上げたロブ気味のパスにルーカスが突っ込み、ペナルティエリアにさしかかろうか、という地点でジャンプした。リヨンのGKロペスは、飛び出してダイレクトにボールを奪いに行く。

 空中で2人は接触。着地したあとでルーカスはエリア内に倒れ込んだ。しかし、両者のボディコンタクトがあったのは、明らかにエリアの外だった。さらに、2人がぶつかったのはすでにボールがルーカスの頭を経由して地面に落ちた後。

 つまり、ボールプレー中の接触ではなく、スロービデオで見ても、ロペスのコンタクトは腕が当たった程度のもので、それでルーカスをなぎ倒したというようなバイオレントなものでもない。にもかかわらずラノワ主審は、間髪入れずにPKスポットを指差した。

 リヨンのオラス会長は、ハーフタイムに怒りのツイート。

『Comment peut on se tromper toujours contre nous. ? Penalty inexistant en dehors de la surface!』
(なぜ彼ら(レフェリー)は、いつも我々に対してばかり間違った判定をするのか? エリアの外側(の接触)では、ペナルティにはならない!)

 PSGの優勝が決まった瞬間、センターバックのウムティティは、審判団のもとへ駆け寄り、執拗に何かを抗議していた。

 ポジション的に間近で目撃していた彼は、真実を審判に訴えたかったのだろう。そこへMFゴナロンも加勢し、ズラっと横に並んだ4人の審判の前で、身振り手振りを交えて2人は長いあいだ必死に何かを訴えていた。見かねたチームメイトたちが引き離しに来て、ようやく審判団は解放されたが、彼らの無念さはひしひしと伝わってきた。

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