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指揮官の選択は経験値より“若き獅子たち”。イングランド代表が若手中心となった理由

text by 山中忍 photo by Getty Images

視線の先には18年W杯。集団として時間を共にすることに意義

 そもそも、指揮官から落選を聞かされた直後に代表引退を決めたコールは、バックアッパーとしてのブラジル行きを嫌ったに違いない。

 イングランドが優勝候補であれば、左SBはベインズとコールの2名体制が理想的だ。しかし、18年W杯を目処に代表再建中の今大会では、一般的にベスト8が現実目標と認識されている。

 メンバー発表の席では、「優勝を狙える」という指揮官の発言も飛び出したが、その表情を見れば実感が籠っていないことは明白。

 ホジソンは、来季から始まるEURO2016予選の組分け抽選でくじ運に恵まれた2月の時点で、ショウ招集に心が傾いたとも考えられる。「次世代」を試用しても突破が確実視される予選を前にしたW杯本大会では、彼らが集団として時間を共にすること自体に意義があるからだ。

 若手が、実際にブラジルのピッチに立つ時間を与えられれば言う事はない。これは、ホジソンにとって勇気のいる決断だ。現時点で、イタリアとの開幕戦で先発起用されそうな国際大会未経験者はララナぐらいだろう。

 タブロイド紙の見出しさながらに、「若獅子が解き放たれた!」と騒ぐのはまだ早い。

【了】

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