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指揮官の選択は経験値より“若き獅子たち”。イングランド代表が若手中心となった理由

12日に発表されたブラジルW杯を戦うイングランド代表。約半数が20代前半という若い布陣となったが、ベテラン勢以上にクラブで好パフォーマンスを見せている現状では妥当な結果だ。

text by 山中忍 photo by Getty Images

GK3名を除く20名中10名が20代前半も、現状に即した判断

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「現実主義者」としても知られるホジソン監督【写真:Getty Images】

 5月12日、イングランド代表の2014年W杯メンバーが発表された。ブラジルに乗り込む“スリー・ライオンズ”の顔ぶれを伝える国内報道には、「若獅子」「未来」「新世界」といった言葉の数々。たしかに、GK3名を除く20名中10名が20代前半という若さだ。

 代表を率いるロイ・ホジソンが保守的な監督として知られ、今大会予選前に「世代交代の過渡期でも経験値は軽視できない」と言っていた事実を考えれば、予想外の若手登用のように思える。

 だが、ホジソンは「現実主義者」としても知られる。今回のメンバー選定は、一転して若い力に賭けたというよりも、現状に即した判断を下したと理解すべきだ。

 実際に“ギャンブル”と言えるのは、アシュリー・コールとルーク・ショウの二者択一で、代表キャップ数107の前者ではなく、今年2月に代表デビューを果たしたばかりの後者を選んだ第2左SBの人選ぐらいだ。

 MF陣9名の中には、キャップ数一桁台の選手が4名いる。しかし、2列目アウトサイド要員の一部に、アダム・ララナとラヒム・スターリングを選ぶのはごく当たり前だ。

 両者はW杯前の今季を、それぞれ堂々8位のサウサンプトンと惜しくも2位のリバプールで主力として戦った。26歳だが遅咲きのララナは、タイトな状況でもボールを要求できる技術の持ち主。19歳のスターリングは的確なラストパスも送れる快足ドリブラー。

 代表歴で勝るからといって、両者ではなくアシュリー・ヤングとスチュワート・ダウニングを、共に今季低調だったマンチェスター・ユナイテッドとウェストハムから選ぶ者などいない。

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