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ヤバいぞ、ボスニア! 欧州最強2トップ擁する圧巻の超攻撃的スタイル。今大会唯一の初出場国の正体に迫る

text by 桑村健太 photo by Getty Images

サイドアタッカーをサイドバックに。超攻撃的スタイル

 前述した2名が示唆する通り、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表はとにかく攻撃的でいろいろと“無茶”なチームである。最近では4-5-1を試すことも少なくないが、欧州予選では4-4-2を熟成。人数をかけボールを動かし、細かいパスワークで自らが主導権を掴んでいくスタイルだ。

 チームのリズムを整えるのは、中盤の後方に位置するミラレム・ピャニッチ(ローマ)とハリス・メジュニャニン(ガジアンテップスポル)である。互いにボールを触りたがるタイプの選手で、このチームの心臓部だと言えよう。

 ちなみにこのメジュニャニンという選手はアンカーに入ることが多いのだが、AZでは10番を背負っていたように、もともと攻撃的なポジションで守備自体は苦手である。このあたりの人選も、なんだかこの国らしい。

 また、ボスニア・ヘルツェゴビナの武器に圧巻の左サイドアタックがあるが、これがまたなかなかのカオスぶりを発揮している。欧州予選ではセナド・ルリッチ(ラツィオ)とセヤド・サリホヴィッチ(ホッフェンハイム)が左サイドを組むことが多かったのだが、この2人、守備のことなど一切考えずにどんどん互いを追い越していく。

 特にサリホヴィッチは近年のブンデスリーガでもシーズン平均10点近い数字を残すサイドアタッカーで、その選手がこのチームではサイドバックを務めているのだ。そのため、ボスニア・ヘルツェゴビナの最終ラインは常にL字型とも言える特殊な形状になっている。本来であれば、そのスペースをアンカーである選手が埋めるべきなのだが…上記の通りメジュニャニンはそういったタイプではない。

 いずれにしても、サリホヴィッチから繰り出されるキックの精度と威力は、あのブンデスリーガでも3本の指に入るレベルにある。是非一度、動画サイトなどで彼の豪快な左足をご覧いただきたい。

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