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ジュニサカ 10年前

実の両親が語るシャビストーリー。“飾らない性格の優等生”が過ごした少年時代

スペイン代表や所属チームであるバルセロナなどでパスワークの中心として活躍し、広い視野で決定機を演出するシャビ選手(バルセロナ)。またピッチを離れても、飾らない性格の持ち主としても知られ、多くの人に愛されています。そこで今回はその類稀なる才能や人間性は、いかにして少年時代に育まれていったのかを探るお話をご紹介します。(翻訳●仲野美櫻)

text by シーケ・ロドリゲス・ガイリ photo by junior soccer editorial staff

『バルサ選手のジュニア時代 家族の愛に支えられ夢を叶えた者たち』P068-P079より一部転載

両親が語るシャビの少年時代

 シャビは、一体どんな子どもだったのか。聞く人にとって興味深く、家族の自慢となっているエピソードがある。

 「バルサの下部組織では、毎シーズン、ベストチームメート賞を発表しました。3、2、1点の投票式で、チームの皆が投票した点数を合計するものです。シャビはアレビン(10~12歳)からフベニール(16~18歳)のカテゴリーの間、この賞をずっと受賞し続けました。あの子は、チームメートからいつも慕われていました。この件は、両親である私たちにとって誇らしいことです。自分の息子が、きちんと良い子に育ってくれた証拠です」

 父のキムは、さらに続けた。

実の両親が語るシャビストーリー。“飾らない性格の優等生”が過ごした少年時代
【写真:ジュニアサッカーを応援しよう!編集部】

「シーズンの終わりが近づくと、シャビが練習帰りのタクシーの中で『チームメートの誰かが、来シーズンはもうバルサでプレーできないんだということになる。それを聞くのは、とても悲しい』と言っていました。その悲しそうな顔をよく覚えています」

 前述したように、バルサはシャビをタクシーで送迎したのだが、その周辺に住む子どもたちも相乗りさせていたのだ。しかし、年々、バルサへの入団を希望する少年は増すばかりである。

 カテゴリーが上がるにつれて、競争は激しくなる。シャビと同じタクシーに乗っていた多くの選手は、最後までバルサで生き残ってプロになるという夢を叶えられなかった。

 「子どもにとって、自分のチームメートがクラブに残れずに脱落していくのを見るのは辛いことです。シャビは学校に通っていた頃の友だちとずっと仲良しです。皆、いい子ばかりですよ。彼らは今でも私たちの家まで来て遊んでいますし、友達が来る前日にはシャビが私に電話をしてきます。友達と一緒に帰るから、パン・コン・トマテ(バゲットにトマトを塗ったカタルーニャ州の伝統の食べ物)と、スパニッシュオムレツを作っておいてと言うんです」

 母マリア・メルセは「もちろん、みんなで来てくれるのは大歓迎ですよ」と嬉しそうに続けた。さらに父のキムも「シャビは基本的に気取らない性格です。あの子の大好物は、豪華で派手な食事ではなく、母が作るマカロニパスタなんですからね!」と付け加える。

 シャビは、食に関してもサッカーをするときと同じように飾らないのだ。シンプルさを美徳にしている。

 また、決して見栄を張ったりすることもないという。そういった気取らない性格を裏づける、こんなエピソードもある。

「シャビはクラブで練習しているとき以外にバルサのユニフォームやジャージを着て歩くようなことは一度もありませんでした。地元の友だちとサッカーをするときも、バルサのユニフォームを着ていったことはありません。日曜日に親戚や一家が集まるときでもバルサのジャージを着たりはしませんでした。だから、私はあるとき『どうしてバルサのジャージを着ないんだ?』と息子に聞きました。すると『見せびらかしているみたいだろう? 格好つけているみたいで嫌なんだ』と答えました。本当に、息子は一度だって普段の生活の中でバルサのユニフォームやジャージを着て現れたことがないんです」


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