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暴走はなぜ止まらないのか?「新国立競技場問題」の核心(その1)

text by 佐山一郎

64年の東京五輪で配られた観戦用パンフレット

暴走はなぜ止まらないのか?「新国立競技場問題」の核心(その1)
1969年に発行された『国立競技場十年史』。関係者たちが国立競技場創立当時の詳細を明らかにしている

後藤 改築する場合は、壁画と聖火台はなんとか残して欲しい。(佐山注・予算の問題から一部を取り壊す案が出てきたが、工藤晴也東京芸術大教授ら外部の検討委員が13点の壁画の全面保存を訴え、JSC側も同意した)いいものができるんであれば、この際、改築がいいとは思いますけどね。

 64年の東京オリンピックで印象に残っているのは、行く時にもらった小さなパンフレット。「試合中は選手の迷惑になるから静かに観戦しましょう」──と書いてあるのが、つい、このあいだ、家の中を掃除してたら出てきた(笑)。

佐山 その厳しい躾が、今も記者席で静かにしている主要因なのかな。多い時は週4回出ているスカパー! のテレビ解説のときも静かに観戦してみるとか。

後藤 選手の迷惑にならない程度にね(笑)。

佐山 その日の国立競技場に限らず、大会期間中は、なんかやたらと万国旗がはためいていた印象が残っている。

後藤 そうだね。この本を書くまでは、4基ある照明塔の配置が左右非対称で、等間隔に並んでないことに気がつかなかった。競技場東北隅で敷地が狭くなってるから、馬蹄形のスタンド拡張も行えなかったんだね。

【その2へつづく】

※本稿は『サッカー批評issue66』(双葉社刊・2014年1月10日号)掲載の原稿(◎構成・佐山一郎)に一部補筆したものです。本稿の文責は佐山一郎。

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