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香川真司 10年前

香川の未来を決めるファン・ハールの3-4-3。現地予想はトップ下で活躍なら残留、悪ければ放出

text by 藤井重隆 By Shigetaka Fujii photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「香川はマタの代役として、本来のポジションでのプレーが確約される」

「シーズン終盤にギグスが暫定監督に就任した際、彼がすぐさまとった行動はルーニーとウェルベックを本来の2トップに戻すため起用した4-4-2の布陣だったが、それでもウィンガーが機能しなかった。右で定位置を確保するバレンシアとは対照的に、パスの質や視野の広さを買われた香川が左サイドでのプレーに苦しみ、結果的に問題を生じさせた。

 2012年夏に当時のファーガソン監督が2列目で柔軟に躍動できるアザール(現チェルシー)に移籍金を渋り、代役候補の香川を安く買った結果が全てを物語っていた。

 ファン・ハールは3-4-3にすることで、攻守のバランスをウィングの選手にゆだねている。戦術に合わせて攻撃時にはオーバーラップ、守備時にはセンターバックの3人を支援するという基本的な形が成り立つ。ファン・ハールはこの布陣でマタ、ルーニー、ファン・ペルシーを前線に起用することができる。

 香川はマタの代役として、本来のポジションでのプレーが確約されるだろうが、それは彼の移籍を意味するかもしれない」

 オキャラガン氏の述べるとおり、今後もファン・ハール監督が3-4-3の布陣を基盤として考えているのであれば、チームは守備時に5-2-1-2、攻撃時に3-2-3-2と変化するため、サイドバックとは無縁の香川がサイドで起用される可能性は低くなる。そのため、香川はマタとトップ下のポジションを争うか、この試合でプレーした守備的MFの位置での起用が現実的だ。

 こうした背景から、今回のプレシーズンは香川にとって自身が最も輝けるポジション、トップ下で最大限にアピールできるか、という正念場になる。できれば残留、できなければ放出、という図式がメディアでは成り立っているが、今夏の移籍市場を騒がせる選手として香川も例外ではない。日本のエースが生まれ変わったユナイテッドで生き残れるかどうか。再起に期待したい。

【了】

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