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スコアレスドローも白熱の90分。なでしこジャパンのボランチ・猶本と阪口が質の高さを見せる

text by 編集部 photo by ジュニアサッカーを応援しよう!編集部

相手のスタイルに対応しリズムを変えた阪口夢穂

 浦和レッズレディースが積極的にボールを奪いに来る中、ベレーザのパスワークの起点となったのが阪口夢穂だ。ボランチにボールが入ったところを相手が狙ってくることも予想していた。

「やっぱり自分たちのサッカーは、ボランチを経由するスタイル。ビデオを見てたら一目瞭然ですし、相手もそこにプレスをかけてくると思っていた」

 それでも前半途中まではいつものリズムでパスを捌いた。キープ力のある阪口のところで時間を作り、そこから逆サイドに展開するなど相手を食いつかせながら広いスペースへの展開を心がけた。そうしたプレーを入れつつ、ある時にリズムを変えた。

「前半の終わりくらいからボールを持ち過ぎないようにして、簡単に1タッチ、2タッチではたいていこうとみんなで意識しました。それでボールが回り始めたのかなと思います」

 リズムに変化をつけたことで、チーム全体が相手のマークを剥がせるようになった。このような場面では、ボールを追う側の負荷は大きくなる。

「試合途中、ボールを回された時はすごくしんどかった」と猶本が振り返ったように、特に前半終盤から後半途中まではベレーザのパスがリズミカルに繋がった。

 6月にベレーザのホームで行われたこのカードは、浦和レッズレディースの完勝だった。ベレーザは相手の容赦のないプレスにことごとく屈し、味方同士のサポートも少なくパスを繋ぐことさえできなかった。最悪の出来といってもいいほどだった。

 だがこの日は、浦和レッズレディースの相変わらずのハイプレスにも動じず、持ち味であるパスサッカーを表現してみせた。得点を奪えなかったのは課題として残るが、首位チームを相手に互角以上に渡り合った。ベレーザの誰もが、次は必ず勝てると自信を掴んだはずだ。

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