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モナコは既に操り人形状態に。世界一の代理人が仕掛けたハメス・ロドリゲスの売却と今後の企み

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

新監督人事に見え隠れする辣腕エージェント

 ジャルディンにプロクラブでのプレー歴はなく、故郷のマデイラ諸島(生まれはベネズエラ)の大学で体育学を学んだあとは、迷わず指導者の道へと進んだ。24歳で3部リーグ所属の地元クラブ、カマーチャでアシスタントコーチの職を得ると、3年後にはトップチームの監督に昇格。

 以降、国内のクラブで着々とキャリアを積み上げ、昨季はスポルティング・リスボンをリーグ2位に押し上げて、6年ぶりのCL出場権を手に入れた。その間、ギリシャのオリンピアコスにも1シーズン籍を置いている。

 指導者一筋、というバックグラウンドも似ていることから、ポルトガルでは“ポスト・モウリーニョ”とも言われる将来有望株だ。

 この人事の背景に見え隠れするのは、今のフットボール界を牛耳る要人の一人、ポルトガル人の代理人、ジョルジュ・メンデスだ。

 モウリーニョを筆頭に、クリスティアーノ・ロナウドやコエントラン、ペペら、ポルトガル代表メンバーをクライアントに抱える辣腕エージェントで、モナコに、ファルカオ、モウティーニョ、カルバーリョを送り込んだのも、冒頭のハメス・ロドリゲスの移籍を取り仕切ったのも彼だ。

 モナコは昨夏、リクルートを担当する、いわゆるスポーツ・ダイレクター兼、ヴァシリエフ副会長のアドバイザーとして、これまたポルトガル人のルイス・カンポスを招聘した。

 カンポスはレアルでモウリーニョのアシスタントを務めるなど実務経験が豊富な上、サッカー界に幅広いコネクションをもつため、PSGのアル・ケライフィ会長も何度か引き抜きを試みているほどの人材。

 そして彼も、メンデスとのリンクは強い。現在、ジャルディン新監督の脇を固める3人のアシスタントコーチも全員ポルトガル人だ。

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