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本田圭佑 10年前

攻守に完成度の低いミラン。本田も印象に残らず“空気”に。精度低すぎるFKへの欲望は捨て去るべき

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

低調なチームで平凡なプレーに終始した本田

攻守に完成度の低いミラン。本田も印象に残らず“空気”に。精度低すぎるFKへの欲望は捨て去るべき
マヌエル・ペジェグリーニ監督【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 両チームの差が最も表れたのが連動性の部分。シティは、ペジェグリーニ監督の2シーズン目ということもあって攻守にクオリティーが高い。守備ではDFラインが安定し、プレスのかけ所も共有している。

 攻撃面でもサイドバックがオバーラップして厚みを持たせ、サイドチェンジが効果的につながるなどサイドを起点とした同じ絵を全員が描けているようだった。

 その一方でミランは、DFはバラバラ。相手に突かれれば簡単にラインが崩れ、1人ひとりの間にギャップが生まれるため、そこから崩されてしまう。

 攻撃面では、中盤のトライアングル(クリスタンテ、ムンタリ、ポーリ)にゲームメイク能力が不足しており存在感が薄い。結局、本田とエル・シャーラウィボールが集まるものの、シティのプレスにかかって簡単に潰されてしまった。リッカルド・モントリーボの一日も早い復帰が望まれる。

 もちろん、まだプレシーズンなので改善する時間は残されている。しかし、フィリッポ・インザーギ監督にはやるべき仕事が多い。選手のポジショニングからライン設定、プレスのかけ方、安定した攻撃の形など全ての面において作り直さなければシーズンが大変なものとなりそうだ。

 本田圭佑は、この試合に関してはチームメイトと比べて悪かったとは言え無いものの、決して良くはなかった。低調なチームで平凡なプレーに終始。未だ周囲との連係に苦労している様子で、印象に残るプレーは1つもなかった。

 そして、今後FKを決める日が来るのだろうか? 最近の低調ぶりから抜け出せないのであればキッカーを務めたいという欲望は捨て去るべきだろう。壁を越えることもままならず、壁を越えれば枠も越えてしまうFKはチームにとってマイナスにしかならない。

 ミランの次戦は日本時間8月3日に行われるリヴァプール戦。中5日とわずかながら時間もあるため、この試合で何かしらのヒントを得られなければならない。

【了】

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