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移籍して大きくなったレヴァンドフスキの存在感。旧エースの幻影との戦いを強いられるドルトムント

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ワントップへボールが収まらず

 ブラジルW杯に参加したため合流が遅れ、かつ新加入のギンターが入ったDF陣は、前半開始直後からラインに乱れが生じていた。ギンターはまだ上手くフィット出来ていないようだ。10分には早くも失点を喫してしまう。

 CBロブレンからの縦パスを、中央でコウチーニョが後ろに流して、抜け出したスタリッジがゴール左に決めた。もちろん失点の要因はDF陣の乱れだけではなく、コウチーニョを中央でフリーにしてしまったことにもある。要するにコンディションの差、ということだ。

 しかし開始後10分の間で何より顕著だったことは、ワントップのラモスにボールが収まらない、ということだった。昨季のドルトムントでワントップを務めたレヴァンドフスキの後釜候補として、今季より新たに加わったラモスは、ヘルタ・ベルリン在籍時はサイドに流れてチャンスを作るタイプのアタッカーだった。レヴァンドフスキとはいささかタイプを異にするのである。

 コンディションの面を差し引いても、ラモスはワントップのポジションでまごついていた。ドルトムントの攻撃は2列目のヨイッチのところで止まってしまう。全体的に上手く攻撃のリズムを生み出すことが出来ない。13分には、ジェラードの左からのCKを、フリーとなったロブレンに頭で合わせられてリヴァプールに追加点を決められてしまう。

 リヴァプールの左サイドからの攻撃は続いた。コウチーニョの右サイドからのサイドチェンジを受けたスターリングが、ピシュチェクとの1対1に持ち込む。またスターリングは、左サイドでパスを受けるや即座に裏へと抜け出すスタリッジにボールを送った。そしてワントップのスタリッジには、ロブレンからの縦パスが着実に収まった。

 前半40分、ドルトムントは苦し紛れにムヒタリアンがペナルティエリア手前からミドルシュートを放つが、相手に当たって左に逸れる。結局ワントップのポジションで上手く力を発揮出来なかったラモスは、前半のみで途中交代することとなった。

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