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フォルラン、アトレティコでの光と影。数多くのタイトルに隠されたチーム内での孤立、仲間からの嫌悪感

ディエゴ・フォルランがアトレティコ・マドリーに加入した当時、チームを率いていたのはハビエル・アギーレ現日本代表監督だった。『フットボールサミット第24回 美しく危険な男 フォルラン』では、スペイン『マルカ』紙の記者が、フォルランのスペイン時代の舞台裏を明かしている。(翻訳:江間慎一郎)

text by ダビド・ガルシア・メディーナ photo by Getty Images

フェルナンド・トーレスの後釜としてアトレティコへ移籍

フォルラン、アトレティコでの光と影。数多くのタイトルに隠されたチーム内での孤立、仲間からの嫌悪感
セルヒオ・レオネル・アグエロ【写真:Getty Images】

 フェルナンド・ロッジが会長を務め、副会長のホセ・マヌエル・ジャネサがその陰の頭脳として機能するビジャレアルで、3シーズンにわたって絶対的な得点源、スター、象徴的選手として君臨したフォルラン。彼には複数のクラブが惚れ込んだものの、カステジョンのクラブを説き伏せたのは一クラブだけだった。そう、アトレティコ・マドリーである。

 ロヒブランコ(=赤白、アトレティコの愛称)はファンが愛し続けるフェルナンド・トーレスのリヴァプール移籍を受けて、その後釜になれる選手を探していた。アトレティコのカンテラーノであるフェルナンド・トーレスは、21世紀のロヒブランコにおける最初のアイドルであり、ファンの心に巨大な風穴を空けていたのだった。

 フォルランのビセンテ・カルデロン(=アトレティコの本拠地)到着が正式にアナウンスされたのは、2007年6月30日。移籍金は2300万ユーロだった。彼のロヒブランコ入団は前述の通りトーレスの穴を埋めるため、また1シーズン前にアトレティコに加わっていた小さな天才選手と強力無比なコンビを組むためであった。

 そのパートナーはセルヒオ・レオネル・アグエロ、通称エル・クン。偉大過ぎる背番号10、ディエゴ・アルマンド・マラドーナが現役を引退して以降のアルゼンチン・フットボールにおいて、リオネル・メッシと並び巨大な才能を授かった選手である。

 フォルランのアトレティコでの歩みは、アグエロを抜きにして語ることはできない。良い面について言及すれば、このコンビはチームをタイトル獲得に導いてカルデロンで敵を平伏させた。しかし逆の面に触れれば、嫉妬心をきっかけとしてロッカールームに問題を生じさせている。

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