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消滅危機のチバスUSA。人種差別訴訟にも発展したオーナーの愚行。加地亮の未来はどうなる?

text by ダン・オロウィッツ photo by Getty Images , mlssoccer.com

成績と共に観客動員も激減。オーナーの行動は訴訟にも発展

 2012年にベルガラ氏と彼の妻が単独のオーナーとなったがその時まで彼はクラブの運営に全くと言っていいほど関心を示さなかった。彼はその後「メキシコのルーツ」にクラブを返す計画を発表した。

 そして、伝えられるところによると、ベルガラ氏はアカデミーの選手から市民権と財産を詳述したアンケートを提出させたり、クラブスタッフにスペイン語を話す事も求める方針を立てた。

 ところが、この方針は人種差別を主張したアカデミーの元監督と他のスタッフによって訴訟問題にまで発展した。米国の放送局「HBO」の番組「リアル・スポーツ」でこの問題が取り上げられると、多くの人々がMLSの理事会からベルガラ氏を追放することを望んだ。

 チバスのサポーター・グループの1つは、スタジアムの上空に抗議のバナーを飛ばすために飛行機を雇ったほどだった。

 MLSは、2014年2月にようやく重い腰を上げて行動を起こし、ベルガラからチバスUSAを買い戻すことで訴訟を解決させた。しかし、そのダメージは大きかった。クラブのシンボルはほとんどのホームゲームで数千人分の空席をカバーするための“防水カバー”とメディアにも言われた。
 
 クラブの活動休止による最大も懸念は彼らの選手(DF加地亮も含む)が2015年以降、どこをホームと呼ぶことになるのかだ。

 この元日本代表選手は7月に太平洋を横断して以降、チバスの11試合中10試合にフル出場して地元メディアもその活躍に称賛を送っている。他の強豪クラブは恐らく彼をスターターとして迎えることを望むはずだ。何より、彼の経験とスキルは8万ドル(約870万円)という年俸に値するものである。

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