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本田圭佑 10年前

「勝ちを手繰り寄せた」ミラン。インザーギ監督の修正能力が引き出した本田の“サイドの選手”としての影響力

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

“サイドを使う”思考にスイッチ。中央にもスペースが生まれる

 そして、ミランは相手が人数をかけてブロックを形成する敵陣ペナルティエリア内へ苦し紛れのクロスを入れるも12本中11本が弾き返され、シュート数では11本を放ちながら枠内シュートは0という結果となった。

 前半は展開としては攻め込むミランと押し込まれるキエーボという印象だったが、ゲームプランとしてはコリーニ監督がより手応えを感じていたはずだ。

 しかし、この状況を見てインザーギ監督は後半から修正を加えた。まず、システムを4-1-2-3から4-2-3-1へ変更。左ウイングで先発したメネズをトップ下に据えることで中央の手数を増やした。

 さらに、インサイドハーフで先発したものの、メネズより純粋なサイドアタッカーであるボナヴェントゥーラを左ウイングに移すことで前半は“サイドに限定されていた”攻撃を後半からは逆に“サイドを使う”という思考にスイッチした。

 相手の策にはまってサイドに限定されるのと、明確な意図を持ってサイドから攻撃するのでは、同じエリアでボールを動かしていても相手に与える圧力は全く別ものだ。

 こうして、中央に駒を増やしながらボールを広く展開してサイドから攻め込んだことでキエーボもサイドをケアしなくてはならず、その結果、中央にも攻め込むスペースが生まれた。

 後半のスタッツを見ると、19本のクロスのうち5本が成功。シュート数でも11本中4本を枠内に飛ばしている。

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