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フットボールマネーを追え!【08】選手人気とシャツ売上の相関関係、そしてなくならないバッタ屋

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

色と購買意欲。密接な関係はある?

フットボールマネーを追え!【08】選手人気とシャツ売上の相関関係、そしてなくならないバッタ屋
ミランも赤色を半分用いた暗色系のユニフォームである【写真:Getty Images】

 食欲をそそる色といえば、中華料理店でもよく使われる赤色が、その代表格とされるが、購買意欲も同様で、赤色がもっとも効果が大きいとするデータもある。

 その理由として、赤は人を発奮させる作用があるからだそうだが、そのことから英ダーハム大学の研究員らが2005年、色が人間の心理に与える影響として、赤色のゲームシャツを着ると、試合に勝つ確率が高くなり、青は赤に対して劣性になるという仮説を立てた。

 そして1947年から2003年までのデータを調べ上げ、その結果、プレミアリーグの勝敗については、わずかながらも赤が有利という有意差が出たと発表した。しかし同じ赤でも、アウェー戦では手応えのある成果は得られなかったともしている。

 これに対して英ガーディアンは2012年、ロンドン五輪を前にした記事のなかで、暗色系のシャツの着用は、攻撃性を増す傾向性があるとした米コーネル大学のラッセル氏のコメントを発表。

 だがこれについては、他にもいくつかの研究論文があり、それらの内容を押し並べていうと、ボクシングや柔道などの個人競技については、赤や暗色が有利と言えなくもない部分があるようが、サッカーなどの団体競技については、首をかしげる研究者が多いようだ。

 ユナイテッドやアーセナル、リヴァプールやバイエルンなどは、確かに赤(以下、ホームゲーム用のシャツが前提)で、ミランも赤色を半分用いた暗色系のユニフォームである。

 しかし昨季のプレミアリーグの覇者マンチェスターシティやリーグアンを制したパリSGは青であり、バルセロナに至っては、青と赤が半分ずつ使われていることからも、色そのものが勝利を左右する要因のきっかけになり得るとは、到底言い切れないだろう。

 翻って、コマーシャル収入部門の収支という観点から捉えると、レプリカシャツに身を包み、タオルマフラーを首に巻いて外を歩くサポーターたちは、その一人ひとりがチームにとって最高の広告塔である。しかも移動してくれるうえに、費用もまったくかからない。

 また、色について、もし1つだけ言えることがあるとするならば、赤は青に比べて、駅や町なかの雑踏では、比較的、目に入りやすい色なのかもしれないということだ。

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