強さの象徴としてのブランド
どのチームも本拠地のスタジアム内やその脇に、公式グッズ販売店を抱え持つ。
セルティックと肩を並べるスコットランドの古豪、グラスゴー・レンジャーズの本拠地アイブロックス・スタジアムではその日、白熱した試合が繰り広げられ、4万人収容の会場は、ほぼファンで埋め尽くされていた。
しかし、試合前に立ち寄った公式グッズ店内には、人はまばらで、グラスゴーの冬特有の空っ風が吹いているようで寒々しかった。
もちろんそのことだけが理由ではないが、それから約1年後、レンジャーズは、経営破たんした。
観戦者をざっと見渡す限り、観光客の取り込みにも成功しているように映ったチェルシーの本拠地、スタンフォードブリッジ内にある公式ショップでは試合当日、溢れんばかりの買い物客でごった返し、レジにも長蛇の列が並んでいた。
いつの世も、人は、強いチームやスーパースターと呼ばれる選手に憧れるものである。
今から100年以上も前の1882年にロンドンで産声を上げたコリンシアンズ(現在の正式名はコリンシアンズ・コーサルズFC)は当時、無敵を誇っていたという。
その強さは尋常ではなく、例えば1904年のユナイテッド戦では、11-3の大差で勝利するなど、挑戦者たちを次々になぎ倒していった。
そしてワールドツアーでも、白色ゲームシャツに身を包んだ彼らの強さは変わらなかった。
ブラジル遠征では、彼らのプレーに魅了された人々によって、その後、彼らの名にちなんで、サンパウロの名門コリンチャンス(ゲームシャツは白色)が誕生した。
スペイン遠征では、レアル・マドリーに強烈な印象を与え、すっかり心を奪われたレアルは、彼らへ憧憬からゲームシャツの色を白と決めた。
童(わらべ)の心と書く憧れを形にしたものの1つが、レプリカシャツを身にまとい、タオルマフラーを首に巻くなどして、一体感を味わうことではなかろうか。
ブランドとは、そもそもは『焼印』のことである。
しかしサッカーの場合のブランドとは、かつてのコリンシアンズがそうであったように、『強さ』そのものであることは言を待たないだろう。
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