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『怒涛の』オールコートプレス。鬼監督ビエルサの下、快進撃を見せるマルセイユ。群雄割拠のリーグ・アンが熱い!

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

ジニャックが得点量産。10人全員で攻めて守るスタイルがフィット

 11試合で10得点と、現在、得点ランキング首位をひた走るジニャックはもともとボックス内で勝負する決定力が売りのストライカーで、このシステムには最適な人材だ。

 トゥールーズに所属していた08-09シーズン、24得点とチームの年間総得点(45)の半数以上を一人でマークしてリーグ得点王に輝いた時も、就任初年度だったカサノバ監督は、とにかくジニャックに集めて打たせるシンプルな戦略を選択し、4位という好成績をおさめた。

 裏を返せば、ジニャックはそのようなポジションに置かれれば、求められた仕事ができるストライカーだということ。

 怪我や体調管理の不行き届きなどで数シーズンは不調をかこったが、一昨季あたりから徐々にゴール感覚を取り戻し、今季はピークを迎えている感がある。

 イブラヒモビッチのかかとの怪我が長引いている間に着々と得点を重ねて、2連覇中の巨砲から得点王の座を奪うことになれば面白い。

 そのジニャックも含めた10人全員で攻めて守る今季のマルセイユのスタイルには、まさに「怒濤の」という形容詞がぴったりあてはまる。

 バスケットボールで言うところのオールコートプレスに似たこの戦術は相当な体力を擁するが、鬼監督ビエルサはそれをあえて選手達に強いて、結果をつかませる。結果を手にした選手達は、自分たちのプレーが間違っていないことに確信を得て、自信とモチベーションを持ってこの戦略に挑むのだ。

 現在のマルセイユは、そんな心技一体の状態にある。

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