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「サッカー本大賞2015」ノミネート作品12冊の魅力を紹介!

text by 編集部

著者が10年以上かけて取材を重ねた集大成であろう一冊

★は翻訳本

『孤高の守護神 ゴールキーパー進化論』(白水社)★
ジョナサン・ウィルソン 著/実川元子 訳

【選考委員評(幅 允孝)】
単なるサッカーの話ではなく、各国の社会的背景やカルチャーも含めたうえでゴールキーパーを語った驚くほどの濃厚さを秘めた作品。昨今のサッカー界の中でゴールキーパーというポジションの在り方の変化がよくわかる。

『サッカーデータ革命 ロングボールは時代遅れか』(辰巳出版)★
クリス・アンダーゼン、デイビッド・サリー 著/児島修 訳

【選考委員評(佐山一郎)】
“勝負の分かれ目”にあるデータにまつわる最新知見が一冊に凝縮されていて、とにかくインパクトが強烈。老若男女の探究派サッカーファンはもちろんのこと、アップデート意識の薄い報道関係者にも是非読んでもらいたい。

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『サッカーと人種差別(文春新書)』(文藝春秋)
陣野俊史 著

【選考委員評(幅 允孝)】
スタジアムにおける人種差別問題が、日本だけでなく世界的に話題になった2014年。本書では、サッカー界における世界の人種差別の歴史をフランス人系の移民の選手たちの証言を中心にまとめている。サッカーと人種差別について知るために最初に手に取りたい一冊。

『サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった』(ころから)
中村慎太郎 著

【選考委員評(大武ユキ)】
Jリーグ観戦をきっかけにサポーターになった著者の心情の変化がみずみずしく描かれている。ここまで赤裸々にサポーターのことを書いた本はこれまでになかったように思う。著者がJリーグへの愛情を込めて書いたエポックメイキング的な作品。

『Jの新人 Jリーグ新加入170選手の価値 2014』(東邦出版)
川端暁彦 著

【選考委員評(速水健朗)】
ファンが新加入選手をチェックできる青田買い本。サッカーを楽しく観るためにも、新人時代から選手を長く追いかけ続けるというのもファンの楽しみ方のひとつである。足を運ばなければわからない情報が盛りだくさんなのも評価できる。

『通訳日記 ザックジャパン1397日の記録』(文藝春秋)
矢野大輔 著

【選考委員評(速水健朗)】
W杯後、いったん火が消えたザックジャパンだったが、本書でメモとして描かれたザックジャパンの舞台裏は多くの共感を集めた。代表での4年間を通して、著者がメモ書きの重要性を認識し、日記の内容はどんどん濃く深くなっていく。本書刊行以後、代表監督の通訳という存在の在り方は大きく変わるはず。

『フットボールのない週末なんて ヘンリー・ウィンターが案内するイングランドの日常』(ソル・メディア) ★
ヘンリー・ウィンター 著/山中忍 訳

【選考委員評(幅 允孝)】
目の前で起こるフィールドプレーを見ながら、過去のフットボールの記憶や当時の社会的な状況などいろいろなものをフラッシュバックさせる。サッカーというスポーツが文化や人の記憶と強く結びついているのだと語りかけてくるサッカーエッセイ。誰が読んでも楽しめる読後感の良さはさすがの筆致といえる。

『マラカナンの悲劇 世界サッカー史上最大の敗北』(新潮社)
沢田啓明 著

【選考委員評(幅 允孝)】
著者が10年以上かけて取材を重ねた集大成であろう一冊。マラカナンの悲劇がワールドカップ決勝で負けたという事実以上に、ブラジル社会にとってどんな意味を持ったのか、丹念な取材を通して描かれている。ドラマとしても非常に面白く、最後まで引き込まれた。

【次ページ】最終選考を終えて
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