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規約違反はないが…。ニース移籍も即退団のベン・アルファ。有能な選手を潰した“お偉いさん方”

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

引退の可能性も。LFP会長は遺憾の意

 イングランドのサッカー協会(FA)も、ベン・アルファのニース移籍が問題となっているとことを受けて、2度にわたり『イングランドとしては、U-21リーグは公式戦とはみなしていない』というオフィシャルレターを発行して後押ししてくれていた。

 開催国が“公式戦”と認めていないのだから、ベン・アルファは今季はニューカッスルでは一度もプレーしてはいないことになり、FIFAのルールには觝触していないはず。

 にもかかわらず2月2日、フランスのプロリーグ協会(LFP)は、『ベン・アルファのニース移籍は認め、練習には参加できるが、今季いっぱいは公式戦には出場できない』という最終決定を下したのだった。

 ベン・アルファの代理人である弁護士のベルトラン氏は、「理不尽な決定にショックを受け、ベン・アルファは引退も考えている」というコメントを出した。

 ここで明確にしたいのは、この最終決定を下したのは誰か、ということだが、FIFAはLFPに対し「FIFAのルールに反している可能性がありますよ」と勧告したにすぎず、ベン・アルファのプレーを禁じるよう命じたわけではない。あくまで、最終決定は、LFPに委ねた形だった。

 そしてLFPのティリエス会長は2日、「フランスが生んだ優秀なタレントが、母国リーグに凱旋する機会が失われ、非常に残念だ」と遺憾の意を表した。

 つまり、会長の意向によらず、LFP内に設置されている法定委員会が、FFF(フランスサッカー連盟)と協議の上で決定したということだった。

 理由はおそらく、FIFAからの提言に逆らいたくなかったということが一番だろうが、ベン・アルファが品行方正なプレーヤーではなく、リヨン、マルセイユとリーグ1に所属していた間に悪童の烙印を押されていたことも、委員会での心象を悪くしていた可能性は高い。

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