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混迷続くリーガ八百長裁判。アギーレは潔白主張も拭えない違和感…。食い違う証言、交錯する嘘と真実

text by 山本美智子 photo by Getty Images

選手への入金も把握せず?

 問題は、スペイン当局はヘスス・マルティネスのようには、ハビエル・アギーレの潔白を信じきってはいないことだ。ハビエル・アギーレとサラゴサの選手達は、クラブである「サラゴサ」から入金され、それを元会長の「アガピト・イグレシアス」に返却したと主張している。

 例えば、アギーレ自身は2回に分けられた入金(5万ユーロ<約654万円>+3万5000ユーロ<約457万円>)が予期していない振込だったので、銀行側にその振込分を封筒に入れ、すぐにアガピト会長に返却するように指示したと述べた。

 当初からの予想どおり無実を主張しているのだが、その金額がいくらなのかを確認しなかったのか、その際に銀行側に書類を求めなかったのか、という問いには「銀行側への信頼があったので」と返答するにとどめている。

 また、アギーレは一部の選手にも同様の入金があったことを知らなかったと明かしたが、日々ロッカールームで顔を付き合わせている選手達のこういった事態を把握していなかったという発言に違和感があるとの声も出ている。

 入金があった選手の一人ガビは昨年、この事件が発覚した時点で当時の会長に現金が必要だと言われたので、好意で口座を貸したことを明かしている。その際に、そういった振込があっても税務上の問題はないのか、といった質問までしたことが明らかになっている。

 ところが、だから私達は潔白です、という証明になるかと言えば、それがそう一筋縄ではいかない。同じように入金されたアントニオ・プリエト元強化担当は「これは年収の一部であり、ある住居の購入オプションを実施するために引き出した」と発言しているのだ。

 ちなみに、その住居購入オプションについては、建築事業に従事していたアガピト・イグレシアスに提案されたものだとも付け加えている。

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