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スタイルを暴かれたバイエルン。それでも消えない楽観論。逆転突破へ鍵を握る“世界王者”の復帰

text by 本田千尋 photo by Getty Images

スタイルの危機を熟知したラーム

 キッカー紙は「ラームとシュバインシュタイガーが再びメンバーに」と見出しを付けて、「2人の世界王者」の再びのメンバー入りを取り上げた。

 ここでは、特にラームの復帰が重要になるのではないだろうか。1-3で敗れたポルト戦の後でラームは「僕たちは常に後方からビルドアップをしようとするけど、このスタイルは危険なものになることもある」と話している。

 今季のバイエルンでは、昨年11月8日のフランクフルト戦以来ラームが負傷離脱していたため、DFラインまで降りて行ってボールを受けるという役目は、主にアロンソが務めてきた。

 そのビルドアップの起点をラームの代わりにアロンソが担っても、ブンデスリーガでは特に粗は出ない。しかしポルト戦で開始早々にマルティネスから奪われたように、アロンソは、ボールを受けながら背後から来る相手のプレスを交わすことを苦手としているようである。

 1stレグでポルトを相手に行き詰まったのは、ロッベンとリベリーという個を欠いたことだけではなく、こうしたアロンソの弱点を突かれたことも要因と言えるだろう。

 この点でラームは、先の言葉にあるように、スタイルの危険性を十分に熟知しているだけでなく、「ボールを受けながら背後から来る相手のプレスを交わす」能力に長けているところがある。

 感染性胃腸炎だけでなく、3月15日のブレーメン戦で長期離脱からようやく復帰したこともあり、コンディションは好調時のものではない。しかし、ビルドアップの起点をラームが主に担うとすれば、2ndレグを制しての逆転突破にも望みが出てくる。

 ポルト戦についてボアテングは「全てポジティブだよ。僕たちはホームでプレーする。まだ大きなチャンスがある」と言う。

 キッカー紙は「見通しは悪い。しかしオプティミズムは消え失せてはいない」と記している。

【了】

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