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サポーターは規制すべき存在なのか? デンマークで導入予定の“アウェイカード”に国内外から批判

欧州のサッカーでは、サポーターによる暴動問題が後を絶たない。そんな中、北欧の国デンマークではある制度が導入されようとしている。スタジアムのセキュリティを強化する一方で、デンマークサッカーを壊滅させるほどのデメリットもあるようだ。

text by 鈴木肇 photo by Getty Images

デンマークで導入されようとしているアウェイカードとは?

サポーターは規制すべき存在なのか? デンマークで導入予定の“アウェイカード”に国内外から批判
コペンハーゲンのサポーター【写真:Getty Images】

 デンマーク1部リーグのアルカ・スーパーリーガで「Awaykort」という制度が導入されようとしている。アルカ・スーパーリーガから3部リーグまでの試合運営や管理などを担うデンマークリーグ協会によると、今月8日、アルカ・スーパーリーガに所属する全12クラブがこの新ルールの採用を支持する意向を示したという。

 この「Awaykort」だが、日本語に訳すと「アウェイカード」。いわゆるIDカードのことで、アウェイゲームに参戦する15歳以上のサポーターは携帯が義務付けられる。スタジアムにおける安全面を強化するため、アウェイチームのサポーターの個人情報を試合前に登録して管理するという取り組みだ。アルカ・スーパーリーガの全試合が対象で、正式に導入が決まれば2015-2016シーズンから施行される予定だが、この制度が物議を醸している。

 アウェイカードは有料(価格は現時点で未定)で、試合が開催される前の週までにオンラインでの申請が必要。申請時に氏名、年齢、住所、生年月日、身長、顔写真といった個人情報を提供しなければならない。試合当日になるとアウェイチームのサポーターはスタジアムの入場ゲートでアウェイカードをスキャンすることになっている。緑色が点灯すれば入場可で、赤のランプが点灯すると別途審査が行われるという。アウェイカードだけ持っていれば入場できるというわけではなく、正規の観戦チケットもあわせて購入しなければならない。

 デンマークリーグ協会でディレクターを務めるクラウス・トムセン氏は、アウェイカード導入について「スタジアムにおける安全面を考慮して、アウェイ席のエリアにどんな人物がいるのか確認したい。この制度を取り入れることによってサッカー観戦が今よりも安全になる」との見解を示している。

 だがトムセン氏の考えとは裏腹に、アウェイカードの導入に対してサポーター団体を中心に反対の声があがっている。

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