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サポーターは規制すべき存在なのか? デンマークで導入予定の“アウェイカード”に国内外から批判

text by 鈴木肇 photo by Getty Images

導入には“デンマークサッカー壊滅”の危険性も

サポーターは規制すべき存在なのか? デンマークで導入予定の“アウェイカード”に国内外から批判
コペンハーゲンが独自で導入しているアウェイカード(写真:デンマーク紙『Ekstra Bladet』より)

 そもそも、アウェイカードを導入しなければならないほどデンマークリーグは観客による不祥事が後を絶たないのか。2013-2014シーズンのスーパーリーガは198試合で計1570027人の観客を集めた(1試合平均7929人)。

 そのうち、試合中にスタジアム内で騒ぎなどを起こして警察の厄介になったのはわずか19人だ。デンマークでは警察による取り締まり強化の効果もあって、スタジアムにおけるトラブルは年々減少している。2006-2007シーズンから2008-2009シーズンまでは年間100人以上の逮捕・拘禁者を出していたが、2009-2010シーズン以降は2桁にまで下がっている。ここにきてアウェイカードを導入する必要性があるのかどうか甚だ疑問だ。

 UEFAの支援を受けている欧州のサポーター団体「フットボール・サポーターズ・ヨーロッパ」(FSE)のダニエラ・ヴルブス代表はアウェイカード導入について以下のように述べている。

「ベルギーですでに廃止され、ポーランドでも(今シーズン終了後に)撤廃されることになっているシステムをなぜデンマークは導入しようとしているのか。ベルギーとポーランドでは、アウェイカードのようなシステムは安全面の強化にはつながらないと証明されたというのに。アウェイカードはビジネスチャンスでもなければセキュリティ強化でもない。試合を台無しにするだけだ」

 人口わずか約550万のデンマークだが、クラブチームは欧州カップ戦で健闘を見せている。チャンピオンズリーグでは過去5シーズンのうち3度本戦出場を果たし、2010-2011シーズンはコペンハーゲンがグループリーグを突破してベスト16まで進出した。アウェイカード導入は「デンマークサッカーを壊滅させる」(トレンスコウ会長)危険性をはらんでいる。リーグ協会と各クラブチームにはもう一度考え直してほしい。

【了】

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