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仏監督賞候補に異変? モナコのジャルディム監督、マルセイユのビエルサ監督も落選…「排他主義を見た!」

text by 小川由紀子 photo by Getty Images , Yukiko Ogawa

元来、外国人指揮官の少ないフランスサッカー

 スポーツニュースサイトの書き込み欄にも、評価はまちまちながらも、ジャルディムやビエルサの名前がないのは不思議という意見が殺到している。

 当の本人たちはというと、ジャルディム監督は「彼らはフランスリーグのベスト監督だ。わたしは、そうだな…ポルトガル人レンガ職人部門でなら、トップになるだろう」

 と笑いをとり、ビエルサ監督は「同業者からの評価であるのだから真摯に受け止めている。もとより自分は選ばれるのにふさわしくない」と生真面目な回答…と、両者のキャラクターの違いを現した。

 指導者の育成も充実しているフランスでは、他国へ監督を『輸出』することはあっても『輸入』することはそれほど多くない。その場合は、選手としてそのクラブに在籍していたOBがほとんどだ。

 フランス代表監督も、W杯イタリア大会(1934年)で指揮をとったイギリス人のジョージ・キンプトン以降は、70年代のステファン・コバチ(ルーマニア)だけで、あとは全員フランス人が占めている。

 ギャラクシー化したPSGも、最初はネームバリュー重視でアンチェロッティを招聘したが、後任にはロラン・ブランを選んだ。この作戦は実に当たりだった。

 ピッチ上には、フランス人選手はマテュイディ一人という多国籍軍のPSGがフランスチームのプライドを保つ上で、元フランス代表さらには98年W杯組のブランが看板であることは、リーグ協会や他クラブからの心象を良くするためにも重要な役割を担っているからだ。

 しかし、実際のところサポーターにとっては勝利に導いてくれる監督ならどこの国籍だろうとそれほど関係ない。来季について契約更新するか辞任するか、まだ表明していないビエルサについても、ファンからは熱烈に残留を望む声が上がっている。

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