フットボールチャンネル

セリエA 9年前

戦術と退場の犠牲に終わった「10番」本田。無策の指揮官、ビオラに必然の惨敗

text by Keiske Horie photo by Getty Images

黒子役の本田に待っていたのは無情な交代…

 試合開始15分こそフィオレンティーナが積極的なプレスを行なっていたものの、徐々にミランがボールを保持する時間帯が長くなっていく。それでも、ミランの攻撃は両サイドバックの積極的な攻め上がりと、FWカルロス・バッカの裏への抜け出しに頼るばかりだった。

 前へ前へと意識が偏る中盤からは効果的な縦パスが出ることはなく、時間とともに本田は受け手としてではなく、出し手としてプレーするためにポジションを降ろしていく。さらには守備時にはデヨングの脇まで下がる場面が頻出するようになり、もはや役割としては「トップ下」というより「センターハーフ」に近づいていった。

 一方でミランの攻撃の時間帯が長引くに連れて、フィオレンティーナのゲームプランが明らかになっていく。サイドバックが積極的な攻め上がりをみせるミランに対して、フィオレンティーナはその裏のスペースに走りこむ。MFヨシプ・イリチッチが2度ディフェンスの裏を取り決定的な場面を作ったものの、GKディエゴ・ロペスが神懸かり的なセービングをみせることで何とか失点を防いでいた。

 それでも36分、ついにミランの守備が崩壊した。再びイリチッチがエリーの裏に抜けだすと、たまらず同選手が後ろから倒し2枚目のイエローカードで退場してしまう。そのファウルから得たフリーキックをDFマルコス・アロンソが完璧なキックで沈め、フィオレンティーナが先制に成功する。そして、この瞬間本田のセリエA開幕戦は終了した。1人少なくなったチームにミハイロビッチ監督はトップ下を削るという判断を下したのだ。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top