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セリエA 9年前

戦術と退場の犠牲に終わった「10番」本田。無策の指揮官、ビオラに必然の惨敗

text by Keiske Horie photo by Getty Images

全てにおいてパウロ・ソウザに上をいかれたミハイロビッチの采配

戦術と退場の犠牲に終わった「10番」本田。無策の指揮官、ビオラに必然の惨敗
ミランのシニシャ・ミハイロビッチ新監督【写真:Getty Images】

 先制を許し10人となったミランに反撃する力は残っていなかった。その後はフィオレンティーナが一方的に試合を支配する展開となり、54分にはイリチッチのゴールが決まって万事休す。ミランは開幕戦を2-0と完敗に終わった。

 エリーの軽率なミスが試合を壊してしまったことは紛れもない事実だが、その責任がエリー本人のみにあるのかと言われれば、決してそんなことはない。フィオレンティーナという強豪相手の開幕戦で、センターバックのコンビを組んだのは21歳のエリーと20歳のDFアレッシオ・ロマニョーリという2人の新加入選手だった。あまりにも無謀であり、リスキーな選択だったと言わざるをえない。

 さらにはサイドバックの攻め上がりという特徴をパウロ・ソウザ監督に完全に把握され、的確に弱点を突かれた上での退場劇だった。その後もチームの攻撃におけるアイデア不足は解消されず、攻守全てにおいてソウザ監督に上をいかれた形だ。

 そして何よりも我々日本のサッカーファンを失望させたのは、本田に黒子役を強いた両インサイドハーフのパフォーマンスが著しく低かったことだ。あれほどまでにベルトラッチとボナベントゥーラを活かすための環境を整えたにも関わらず両者が決定的な仕事をできなければ、指揮官の判断が誤っていたと言われても仕方ないだろう。「10番」に黒子役を求めないイタリアメディアは今回も確実に本田を糾弾するはずだ。

 フィオレンティーナのパフォーマンスが傑出していたこと。昨季と比較すれば、あらゆる面において改善がみられたこと。たしかにミランの敗北をポジティブに捉えられる要素がなかったわけではない。それでも、プレシーズンで少しずつ積み上げてきた本田とチームへの期待を無に帰してしまったことは小さくない失望だった。チームの核は、そして方向性はどこへ向かうのか。開幕戦の惨敗を経てミハイロビッチ監督の判断に注目が集まりそうだ。

【了】

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