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アジア 9年前

【現地レポート】ジュニア世代では日本を圧倒。育成のベトナムがアジアの勢力図を塗り替える

text by 宇佐美淳 photo by Jun Usami

課題はフィジカル。英才教育で改善なるか

【現地レポート】ジュニア世代では日本を圧倒。育成のベトナムがアジアの勢力図を塗り替える
観客席で応援するPVFのジュニア年代の子どもたち【写真:宇佐美淳】

 このほかにも、「ベトナムの英雄」レ・コン・ビンを筆頭にベトナム代表選手を多数輩出しているサッカー王国ゲアン省を本拠地とするソンラム・ゲアン(SLNA)やSHBダナンも優秀なアカデミーを持ち、アンダー世代の国内大会では常に上位に食い込んでいる。

 全寮制の英才教育により、サッカー漬けになるベトナムのジュニア年代は、アジアの強豪国とも互角以上に戦えるが、やはり課題はフィジカルに差が出てくるユース年代以降だろう。

 PVFがジュニア年代のJクラブと対戦した時は、ボールを支配して圧倒出来たのに対し、ユース年代だと防戦一方になることからも、この数年間でベトナムと日本の力関係が逆転していることが分かる。

 戦術面では、ジュニア年代からユース年代、プロに至るまで基本的にロングボール主体のサッカーをしているクラブが多く、こちらも更なる改善が必要だ。こうした問題を打開すべく、ベトナムの各クラブは、アーセナル、マンチェスター・シティ、ドルトムント、リヨンといった欧州の強豪クラブとの協力関係を築き、若手育成と共に指導者育成にも注力している。

 ベトナムから世界に羽ばたく選手が現れるのも遠い未来のことではないだろう。

【了】

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