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本田を意識せず――。星稜快進撃を支える大橋滉平、G大阪での挫折をバネに抱く大志

text by 藤江直人 photo by Yosuke Koga , Hiroyuki Sato

進路は大学進学だが、夢はあくまでプロになること

 もっとも、歴史に名前を刻んでも大橋は満足していない。玉野光南戦後に残した言葉は、インターハイ覇者の東福岡(福岡)との準決勝を9日に控えたいまも変わっていない。

「監督自身は満足していないと思いますし、自分たちもまだ満足していない部分がある。もっともっと監督の理想に近づいて、1試合1試合成長していけたらいいなと思います」

 卒業後には日本体育大学へ進む。教員になる道も頭の片隅にはあるが、あくまでも最大の夢はJリーガーになること。失意の15歳のときに立てた誓いに至る過程には、星稜での全国制覇が記されている。

「自分たちはしっかり守備から入るので、まず相手に仕事をさせないのが一番。ガンバで悔しい思いをしていた分だけ、今回の選手権というものは自分のなかでは大きな存在になっている。ここからが勝負なので、どこまで結果を出せるかが自分にとっての課題。次を100%勝つ、日本一になるということをチームに、自分に言い聞かせながら準備したい」

 前回大会の優勝メンバーで残っているのはGK坂口璃久(3年)だけ。河﨑監督をして「去年のチームと比べれば半分。ただ、1試合1試合だけを見れば百点満点」と言わしめた星稜が、開幕前の下馬評を覆して演じている快進撃の中心に背番号「8」の大橋がいる。

【了】

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