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マラガが突いたレアルの“心臓”。あぶり出された弱点、ジダンに訪れた正念場

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

ベンゼマ不在の痛手、機能しなかった3トップ

レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督
ジネディーヌ・ジダン監督【写真:Getty Images】

 さらにこの試合で作り出した7回のチャンスのうち、6回が中央から攻め込んでのもの。マドリーが12回のチャンスのうち7回がサイドから攻め込んでのものだったことからも、その違いがわかる。

 自らのエリアを狙われることで、クロースは徐々にプレーに余裕をなくし、あわや失点というミスを犯すなど攻撃への関与を制限される展開となっていった。その結果、モドリッチとコバチッチのトライアングルは崩れ、クリスティアーノ・ロナウド、イスコ、ヘセの前線3人と中盤が引き離された状態に陥ってしまった。

 もちろんカリム・ベンゼマの不在も大きい。ジダン監督は、センターFWとしてボールの納め所としても重要な存在であるベンゼマの欠場によって、ロナウド、イスコ、ヘセが流動的に入れ替わる3トップを形成したが、成功したとは言い難い内容だった。

 チャンスメイク能力も高いベンゼマを欠いたことで中盤との連係がより必要となっていた中で、マラガのプランによってそれを阻止されてしまった。仮にベンゼマがいれば、展開は変わっていた可能性が高い。

 結局、ロナウドは2度の得点機会のうち1つを決めて1得点。しかし、それはクロースのFKに合わせたヘディングとPK(失敗)によるもの。流れの中から決定的なチャンスを生み出すことはできなかった。

 試合は66分にマラガのCBアルベントサがゴールを決めて1-1。結果だけを見ればマドリーは勝ち点2を失った、マラガは勝ち点1を拾ったと思われるかもしれないが、内容的には逆。勝ち点3に近かったのはマラガだったといえるだろう。

 次節はホームにアトレティコ・マドリーを迎えてのマドリー・ダービー。今回のマラガ戦であぶり出された弱点をディエゴ・シメオネ監督が見逃すはずはない。ジダン監督にとって、指揮官としての力が問われる時期が来た。

【了】

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