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本田圭佑 8年前

本田、“特性がない”ウイングで一歩後退のプレー。大揺れのミランに同僚、そして副会長も激怒

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

本田、チャンス演出もゴールには結びつかず

本田圭佑
本田圭佑は先発したものの、ミランは急きょシステム変更を余儀なくされた【写真:Getty Images】

 さて本田だが、チームが劣勢に立たされた前半からよくボールを運んでいた。前半11分、対面の左SBマッシモ・ゴッビを1対1でかわし縦を突破。なおもドリブルで突進して相手を振り切り、右足でクロスを上げた。ゴッビは他チームを渡り歩いたベテランであり、戦術理解度の確かさとハードな当たりに定評のある選手だ。最初のマッチアップで彼を手玉に取った本田は、自信を得たのか1対1の場面では積極的に抜きに掛かった。

 もっともその前に、キエーヴォのMF陣がハードなプレスを掛けてくる。特に左のジャコモ・ボナベントゥーラと同様、戦術のキーパーソンと見なされた本田は常に2人以上で取り囲まれ、アバーテにもプレスが掛けられて連携を封じられた。

 しかし自らの推進が難しければ、その分周囲を使う。囲まれても粘り、マークを引き寄せた分スペースができていることを確認し、横パスを出す。こうして開いたスペースでパスを受けた味方には、前方に大きく視野が広がっている。そこからゴール前へと到達する展開が何度も生まれていた。

 味方が相手の激しいプレスに戸惑い、狭まった視野で強引なプレーに走っては失敗する中、本田はクレバーに立ち振る舞っていた。象徴的だったのは48分。

 ひとしきり味方が左サイドでボールを“こねた”のち、ピッチの中央でボールを受けるとノールックで右サイドにボールをはたく。するとそこには、フリーになっていたアンドレア・ポーリが。シュートを狙うが、ゴールの左にそれた。

 ただチーム全体が息を吹き返した後半には、逆にゴール前での淡白さが目立った。カルロス・バッカの左クロスを拾い、さらにファーへと折り返した後半10分のクロスは惜しかった。だが18分には、決定的な場面でシュートを打たなかった。前節の失敗が頭にあったのか、エリア内に出るが右足でのシュートを回避、しかもそれが相手に届かなかった。その直後、裏に走って中央に折り返す。ただこれもルイス・アドリアーノに届かなかった。

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