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今季のプレミア優勝争いは“浪漫”か“波乱”か。英国内で高まるレスターへの判官贔屓と自滅した強豪への失望

text by 山中忍 photo by Getty Images

不甲斐ない主力クラブ。今季のプレミアは「過去最低」?

トッテナム
レスターを追う2位のトッテナム【写真:Getty Images】

 だが今季は、アーセナルがウェスト・ハムとのホームゲームで完敗(0-2)した開幕節から番狂わせの連続。チェルシー、シティ、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッドの昨季トップ4から1勝も奪えずに3月を終えるクラブは、ボトム2のアストンビラとニューカッスル、そして昇格組のワトフォードしかいない。

 ただし、弱肉強食が成り立たない理由は中小クラブの戦力アップだけではない。そこで、今やレスターとトッテナムの「二頭立て」とさえ言われる今季のタイトルレースには「失態」という言葉も付きまとう。

 連覇が有力視されたチェルシー、王座奪回を期していたシティ、FAカップ連覇で弾みがついていたアーセナル、そして優勝候補への復帰を狙っていたユナイテッドは、30節終了時点で合わせて33敗という不甲斐なさだ。

 現実的な唯一の対抗馬としてレースを盛り上げているトッテナムの勝ち点は31試合で61ポイント。昨季ならば4位、一昨季は5位がやっとの数字だ。レスターの66ポイントにしても、例年なら逃げ切りが予想されるような数字ではあり得ない。

『デイリー・メール』紙が今季プレミアを「過去最低」と評したのは、トップ6にウェスト・ハムとクリスタルパレスが顔を揃えて前半戦を終えた昨年末。当時14位に低迷していたチェルシーは、その後も優勝争いには絡めないまま。主力がほぼ一様に不振だった原因の特定が難しいという事情がなければ、「最低」を招いた「主犯」として咎められているところだ。

 この2ヶ月間で目標がトップ4争いに下方修正されたシティの言い訳は、ケビン・デ・ブルイネの戦線離脱と監督人事の影響といったところか。逆に監督のマヌエル・ペジェグリーニは、2月頭に「今季限り」が公表されていなければ、翌週からレスター戦(1-3)、トッテナム戦(1-2)、リバプール戦(0-3)と続いた3連敗時に、意識が攻撃に偏りがちな采配が「限界」の二文字と共に大々的に批判されていたに違いない。

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