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【レスターはなぜ強かったのか?―1】シンプルでも崩れなかった理由。空間を制圧した“サッキ流”ゾーンプレス

パスカットをするためのメカニズム。ヴァーディと岡崎は対角線上に

レスター分析
プレッシングの一連の流れが分かるアニメーション。FWは対角線上に並び、相手を追い詰めるとともにカウンターへの脅威を与える。さらにボールのないサイドで相手は孤立する。(※端末によってはアニメーションが機能しない場合があります)

 ラニエリがピッチを垂直に3つのゾーンに分けていることは明白で、チームには常にそのうち2つをカバーするように求めている。よって、スペースの半分を支配するという概念には重点を置いていない。

 レスターのMFたちは、相手選手が彼らの近くにいる限り、彼らをマークする。彼らは、狭いゾーンを避けるために後ろに下がる相手MFを追い、自分たちの前線(FWの位置)まで追い続ける。そして相手プレイヤーを安全な領域に追いやって直ぐに持ち場に引き返す。

 これは、中盤でのパスカットに役に立つ。まず、密接な相手へのマークはパスを出すという選択肢を封じ込める。次に中盤を離れるという相手の自然な反応により、レスターが中盤を支配することにつながる。

 プレッシングの第二段階では、レスターはボールの動きを重視したシフトとゾーン重視で相手へのマークを続ける。ただし、一番奥のウイングが中盤の仲間選手との距離を縮めるスローインの場合は除く。そうすることで、レスターがボールを確保した時に、奥のウイングがピッチの中央部分からさらに先へと走りこむことが可能になる。

 相手プレイヤーを一方のサイドに追い込んだ後、ヴァーディと岡崎が対角線上に並び、ピッチ奥に上がっている選手と共に相手の後方を脅かす。ボール近くの選手は後ろからプレッシャーをかけるために後ろ方向へプレッシングする。もしくは、敵に2つ3つの短いパスの選択を断念させるためにボールを運んでいる選手の隣で半分のスペースを空けて待つか、相手後方へ向けたパス出しを遮る。

 さらに、セントラルMFの1人(カンテもしくはドリンクウォーター)がゴール方向に向かって相手を追いかけても、そこで生じた中盤の隙間を先述のセンターFWが埋めることが可能になる。

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