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アーセナル、首位で新年迎えるも…12年ぶりの優勝逃す失意の1年に【15/16シーズン査定】

シリーズ:15/16シーズン査定 text by 今関飛駒

やはり物足りなかったストライカー陣

ジルー
物足りなさを感じたオリヴィエ・ジルー【写真:Getty Images】

 前述の通り、夏の唯一の補強となったチェフの獲得は成功と断言していいだろう。今季16度のクリーンシートでゴールデングローブ賞を受賞するなど、34歳(シーズン終了後に35歳)の守護神はいまだ健在であることを証明した。

 ただ、やはりストライカー陣の駒不足感は拭いされなかった。チーム最多得点はオリヴィエ・ジルーだが、それでも16得点。第37節までは13得点だったが、最終節で降格が決まった最下位アストン・ヴィラ相手にハットトリックを決めて数字を伸ばしている。

 優勝を狙うのであれば、20得点以上は確実に計算できるストライカーは不可欠。ましてや、攻撃的スタイルを掲げるヴェンゲル監督においてはなおさらだ。

 途中9試合無得点の間はダニー・ウェルベックに出場機会を奪われてしまうが、ウェルベックも前半戦は負傷で不在にしており、こちらも11試合4得点と十分とはいえない。

 今季開幕前にはカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)やエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)などの獲得が噂されたが、優勝を狙うのであればこれに匹敵するワールドクラスのストライカー獲得は必須である。

 ボランチのポジションも補強ポイントではあったが、冬にバーゼルからエジプト代表のモハメド・エルネニーを獲得。決してビッグネームではなかったが、中盤での守備と抜群のパス配給能力で不可欠な存在となった。

 特にパスにおいては一時期リーグ1位の成功率を叩き出すなど、ゲームメイク能力にも長ける。欲を言えば夏の時点で補強したかったが、夏の失敗を冬で取り返したという言い方をすればポジティブな見方もできなくはない。

 また、アレックス・イウォビの台頭は明るい材料だった。ジェイ・ジェイ・オコチャ氏の甥にあたる20歳の新星は、リーグ終盤に出場機会が回ってくるとそのまま定位置を確保した。外部クラブからの補強が少なかった今季のアーセナルだが、下部組織出身ということもあり、サポーターにとっては将来が楽しみな選手だろう。

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