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バルセロナ、6冠、CL連覇逃すも、評価すべき国内2冠。チーム救ったS・ロベルト【15/16シーズン査定】

シリーズ:15/16シーズン査定 text by 中山佑輔 photo by Getty Images

急成長を遂げたセルジ・ロベルト

セルジ・ロベルト
バルセロナのセルジ・ロベルト【写真:Getty Images】

 決して悪くはないシーズンを送ったバルセロナだが、序盤戦は負傷者が多く“野戦病院”と化していた。そんなチームを救ったのは、カンテラ出身のセルジ・ロベルトだった。昨シーズンまで、トップチームでいまいち持ち味を発揮できていなかったMFは、ダニ・アウベスの負傷で空いた右サイドバックのポジションに入ると、水を得た魚のように躍動する。

 サイドバックでプレーを通じて自分のやるべきことが整理されたのか、好プレーを見せたことで自信をつけたのか、他のポジションでも高水準のプレーを披露するようになり、まさにポリバレントな選手としてチームに欠かせない存在になる。

 アンカーの位置に入っても、ブスケツとそん色ないレベルとまではいかなかったものの、ある程度の穴埋めができることは示した。なかなかブスケツを休ませることができなかったバルサにとっては、控えのアンカーとしても貴重な存在となった。

 最終的にスタメンの序列を覆すことはできなかったが、計算ができる貴重な控え選手としての地位を確立したと言える。来シーズンはさらなる活躍が期待されるところだ。

 来季の課題を挙げるとすれば、MSNと呼ばれるメッシ、スアレス、ネイマールが不調に陥ったときにどうするかだろう。とくに代表ウィークには3人とも南米との往復を余儀なくされることが多くなる。代表戦明けの試合をどうクリアしていくかは、MSNを起用し続ける限りついて回る問題だろう。

 また、第4のFW問題もある。サンドロ・ラミレスよりは優位な立場に立ったムニル・エル・ハッダディだったが、MSNの穴埋めができるレベルには達していない(途中出場の可能性も含めて彼らの欠場時にしか出番が回ってこない状況は同情の余地があるかもしれないが)。

 ただ、チェルシーに移籍したペドロほどのクオリティの選手を抱えたとしても、そのようなレベルの選手が出場機会に恵まれない状況でモチベーションを保つのは難しいだろう。2014-15シーズンのルイス・エンリケは、ペドロを起用するために4-3-3を放棄し4-2-3-1を採用したこともあったほどだ。

 ケヴィン・ガメイロ、ハテム・ベン・アルファら、新たなFW獲得の噂はあがっているが、本来MFでプレーする選手をMSN不在時にはFWで起用する、というのが現実的な策なのかもしれない。買戻しオプションを行使しての復帰が濃厚とされるデニス・スアレスは、そうした役割を十分に果たしうる逸材なのではないだろうか。

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