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EURO2016 8年前

フランス、2大エース停滞も輝き放つ救世主パイエ。アイルランドとの“因縁の一戦”へ【現地レポート】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

“因縁の一戦”、行く末はいかに

ティエリ・アンリ
2010年南アフリカW杯出場を決めたフランス代表のゴールは、アンリ(右)のハンドから生まれた【写真:Getty Images】

 問題だったのは、このときのギャラスへのアシストとなるパスを出したティエリ・アンリがあきらかなハンドをしていたことだ。これによってアンリは(W杯行きを実現したにもかかわらず)フランスメディアからも厳しく糾弾され、以来彼はフランスには寄り付かなくなってしまったのだが、あの試合をスタッド・ド・フランスで見ていた筆者にとっても、近年で最大のハートブロークンな試合だった。

 あの試合のアイルランド勢の戦いぶりは、「闘魂」が服を着てプレーしているかのようだった。あそこまでアンリが非難されたのは、敵方のフランス人たちから見ても、アイルランドの選手たちのパフォーマンスが素晴らしかったからでもあった。

 案の定、ラウンド16の組み合わせが決定した瞬間から「リベンジか!?」とメディアは盛り上がっている。現代表であの試合に出場していた選手は、ロリス、サニャ、エヴラ、ジニャック、そしてシソコとマンダンダがベンチメンバーだった。

 フランスが自国開催の大会で優勝というのは美しいストーリーだから、ここで勝ち抜けてほしい気もするが、やっぱりアイルランドには勝ってほしい。どちらにしても、感情的な一戦になるのは間違いない。それにしても、ここでアイルランド戦を迎えるあたり、やはり今大会のレ・ブルーは、ドラマチックな展開を運命付けられたチームだ。

(取材・文:小川由紀子【パリ】)

【了】

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