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EURO2016 8年前

英国勢のEURO躍進の裏で…出遅れたスコットランド、「潔さの伝統」と仇敵イングランドとの宿命【東本貢司の眼識】

シリーズ:東本貢司の眼識 text by 東本貢司 photo by Getty Images

イングランドに選手が流出する傾向は今も変わらず

ダルグリッシュ
ケニー・ダルグリーシュら多くの選手がイングランドでプレーしている【写真:Getty Images】

 そして、スコットランドはその時々の大強豪チームに一泡吹かせる“金星コレクター”としての実績も過去に数多く残している。それも華々しい激闘の末に。例えば、1978年のワールドカップで、後に決勝に駒を進めたオランダを3-2で撃破した語り草の歴史的勝利、などなど。また、スコットランドが本大会に出場したワールドカップでブラジルが優勝した試しはないという、ちょっぴり興味深いジョーカー的ジンクスもある。

 ユーロ2016では他の英国勢、特にウェールズには相当に差をつけられた格好になったとはいえ、予選での健闘も含めてスコットランドの未来は決して暗くはない。

 今も代表キャップ数史上最多(102)を誇るケニー・ダルグリーシュや、孤高の“赤い悪魔”デニス・ロー、リーズ最強時代のキャプテン、ビリー・ブレムナー、あるいはリヴァプール史上最高のCBアラン・ハンセンらの時代以来、突出したプレーヤーの多くがイングランドに流出する傾向は今も変わりはないが、それもれっきとした“他流試合志向”のスコットランド流(?)。

 というより、彼らのイングリッシュ・リクルートがほぼ若い頃に集中しているところにこそ、スコットランドの底力を見出すべきなのだろう。

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