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アジア 8年前

増田誓志が感じた恐怖心。融合と反発の4年間で見た韓国サッカーの良し悪し【Kリーグの日本人】

シリーズ:Kリーグの日本人 text by キム・ドンヒョン photo by キム・ドンヒョン

「蔚山を優勝させたい」。タイトルへの熱い気持ち

並べられたトロフィー
並べられたトロフィー。しかし、近年はタイトルから遠ざかる【写真:キム・ドンヒョン】

 増田は今や蔚山で重役を担っている。蔚山も今年がユン監督の最後の年でもあり、タイトル争奪をかけている。増田は「契約は今年まで。日本からオファーがあればもちろん考える。その時の気持ちとか、状況とかも考える」と言いながらもタイトル獲得の意気込みも同時に語った。

「鹿島には負けていても勝ち越せるというか、とにかく勝者のメンタリティーがあった。日本の中でも特殊なチームだと思う。蔚山と鹿島の一番の差は、“ここぞ”というところの勝負強さ。

 蔚山は最初に来た年もそうだったが、優勝間際でこけてしまうことが多々あった。(ロビーに飾ってあるトロフィーを指さしながら)あそこにあるトロフィーは少し前のもので、ここ数年優勝できていないのもその証だと思う。だから今年は優勝したい。いや、優勝させたい」

 彼がこう語るもう1つの理由はA代表だ。2012年、アイスランド戦に出場してから代表からは離れているが、まだ代表への夢を捨てているわけではない。ある意味、増田のようなタフな選手が現在の日本代表に最も当てはまる選手かもしれない。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は日本代表の闘争心について熱弁したこともあった。増田も率直に代表への思いを語った。

「正直、代表を考えていないわけではない。代表にいる選手のレベルはもちろん高く、そこに入れるかどうかはもちろんわからないし、自分の能力がまだまだ足りていないことも知っている。

 しかし今の代表監督はより闘争心のある選手を求めているのかなと。だからそういうところから見ると(代表先発に)『少し近づいたのかな』とも思う。だからこそもっと蔚山で頑張って、結果を残したい。蔚山を優勝させたい」

 彼は最後まで何度も「蔚山を優勝させたい」と口癖のようにいった。結果へのこだわり、そして意気込みは彼がどれだけこのチームに溶け込んでいるのかを証明している。サッカーではどんなことでも起こりうる。

 韓国に来て4年目を迎えたボランチ、そしてチームは順調にその気持ちをピッチで発揮している。彼の意地にどういう結末が待っているだろうか。日本のファンのみなさんも注目してほしい。

(文:キム・ドンヒョン【城南】)

【了】

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