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アジア 8年前

増田誓志が感じた恐怖心。融合と反発の4年間で見た韓国サッカーの良し悪し【Kリーグの日本人】

シリーズ:Kリーグの日本人 text by キム・ドンヒョン photo by キム・ドンヒョン

充実するクラブハウス。高級ホテルのような環境

クラブハウスの食堂
クラブハウスの食堂【写真:キム・ドンヒョン】

 いくら受け入れのいい環境とはいえ、4年の時間はただのものではない。その間、体感したものも決して少なくない。特にKリーグとJリーグのプレースタイルは長い期間、経験を蓄積しないとわからない。4年目を迎えた増田は「前進する意識」を一番の違いと挙げた。

「前に行くことを重視しているのは韓国。攻めに関して『詰まっているな』と思われるところでもパスかドリブルで縦に行く意識がある。その分、ボールを失うところも多い。逆に日本だと取られないことを重視している。同じ状況であれば、Jリーグのチームはサイドチェンジしたり、ポゼションを高めたりする。そういうところにかなり違いがある」

 プレースタイル以外でも驚いたことがある。

「韓国に来て一番いいのはこのクラブハウス。特にグラウンドのすぐ横に寮と食堂があるのはすごい。トレーニングが終わって自由時間の時、部屋で寝たりすることもできる。こういうシステムはすごくいい。鹿島でもこういうのはなかった。基本的に日本ではクラブハウスに泊まることがないから」

 現在、蔚山が使っているクラブハウスは2002年日韓W杯の際にスペイン代表が使っていた施設。親会社の現代が建設しただけあって韓国では指折りの設備を誇る。実際、筆者が訪問していた際にも現代の年代別ユースチームを含む7チームが同時にクラブハウスで生活していたが、グラウンドはもちろん食堂もきちんと整理されており、広々としたロビーや施設は高級ホテルを彷彿とさせた。

 もちろんすべてのチームが高級施設を完備しているわけではない。和田倫季が在籍する光州FCはホームグラウンドと練習場が車で1時間も離れている。増田も「和田ともちょっと話したけど、もしあそこでプレーとなったら行かないかもしれない。和田はまだ若いからいい経験になるはず」と笑った。

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