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アジア 8年前

W杯に挑むフットサルベトナム代表。同国”フットサルの父”の存在。積極投資で急成長

text by 宇佐美淳 photo by Jun Usami

急成長したベトナムフットサル代表

 タイソンナムには、Fリーグファンにはお馴染みのセルジオ・ガルジェッリ監督、畠山ブルノ選手、稲葉洸太郎選手が在籍していたことから、日本のフットサルファンの中にも名前を知っている人がいるかもしれない。現在のフットサルベトナム代表は、メンバーの大半がタイソンナムの選手。さらには、監督、コーチ陣もすべて同クラブのスタッフであるため、「タイソンナム=ベトナム代表」と言っても過言ではない。

 国内では、向かうところ敵なしのタイソンナムはこれまで、ベトナムフットサル選手権で最多5度の王者に輝いており、フォルモソ監督を招聘して2年目となる昨年のAFCフットサルクラブ選手権2015では、ウズベキスタン代表アルトゥール・ユヌソフと元スペイン代表サウル・オルモ・カンパーニャを補強し、イラクやカタールなどの中東の強豪を破って3位入賞という快挙を達成している。

 そんなタイソンナムが主軸となる現フットサルベトナム代表もクラブの成長と比例するように、国際大会で目覚ましい成績を残していき、自国開催した国際トーナメントでは、ブラジルを破るという大金星を挙げたこともある。東南アジアの雄、タイの後塵を拝することが多いとはいえ、ASEAN屈指の強豪といえるレベルに達しており、フットサルに対する国民の関心も以前とは比べ物にならないほど高くなった。

 ベトナムは、今年2月にウズベキスタンで開催されたAFC フットサル選手権2016(兼FIFAフットサルワールドカップ2016予選)で、歴代最強と謳われた日本代表をPK戦の末に下してベスト4に進出し、悲願のワールドカップ初出場を決めた。

 試合後のロッカールームでは、全精力を使い果たした選手たちが次々と失神したという。何度リードを奪っても諦めずに喰らいついてくるベトナムの驚異的な粘り強さは、この試合を観た日本のファンに強烈なインパクトを残したに違いない。

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