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アーセナルはどこに向かっているのか? ヴェンゲルは早急に“プランB”の用意を!【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

「プランB=Bチーム」ではない。なぜひとつのフォーメーションにこだわるのか?

ラムジー
中盤を得意とするもサイドで起用されるアーロン・ラムジー【写真:Getty Images】

 ベジェリンの代役は存在しない。フットボール界最速の右サイドバックで、試合終盤でもスプリントを繰り返すタレントがどこかでプレーしているのなら、マドリーやバルセロナ、シティあたりがとっくの昔にスカウトしている。カール・ジェンキンソンで我慢するか、アレックス・オクスレイド=チェンバレンを説き伏せるしかない。

 しかし、カソルラ不在をカバーするプランは考えられる。なぜヴェンゲル監督は、4-2-3-1-にこだわっているのだろうか。ニ枚の中盤センターにゲームメーカーと守備的なタイプを並べてきたが、カソルラが使えないのなら、発想を換えなければならない。ここで、ヴェンゲル監督のコメントに耳を傾けてみよう。

「アーロン・ラムジーは典型的なボクス・トゥ・ボクス(box to box)。並外れた推進力を持ち、ミドルシュートも狙える。フランク・ランパードに匹敵するタレントだ」

 長くチェルシーで活躍した攻撃的MFに、ラムジーをなぞらえていた。選手の特徴を理解しているにもかかわらず、なぜラムジーをサイド、もしくは守備的MFに起用するのだろうか。ランパードが3センターの左インサイドを最も得意としていたように、ラムジーも前線に飛び出しやすいポジションが適性だ。守備的MFを任せられるほどの危機意識はなく、サイドを疾走するスピードスターでもない。

 守備的MFにフランシス・コクラン(もしくはグラニト・ジャカ)、中盤インサイドにラムジーとエジルを配置する4-3-3を、プランBとしてテストすべきだ。Bチームでは断じてない!

 11月のアーセナルは手詰まりだった。ヴェンゲル監督の固定概念によって、10月までのチームとは別物になってしまった。それでも、彼はまだひとつのフォーメーションにこだわっている。

 基本プランの熟成を図り、異なる闘い方を模索することも指揮官の任務である。なにも考えず、成功例に縛られていると仮定すれば、それは職務怠慢だ。アーセナルは今シーズンも、メジャータイトルには手が届かない。

(文:粕谷秀樹)

【了】

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