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マンC、序盤戦の期待感はどこへ? アーセナル撃破も浮き彫りとなった脆さ

text by 舩木渉 photo by Getty Images

簡単に崩れてしまう脆さも

ジョゼップ・グアルディオラ
マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督【写真:Getty Images】

 相変わらずフェルナンドが守備から攻撃への切り替えでもたつく場面は見られたが、デ・ブライネの輝きがチームを救った。

 71分、デ・ブライネが左から右へ大きく展開すると、パスを受けたスターリングが鋭いカットインから強烈なシュートをゴールネットに突き刺す。左でボールを動かしながら組み立て、最後の局面は右から崩す、まさにシティが得意とする形で逆転ゴールを奪って見せた。

 ストライカーを本職とする選手がいない中でデ・ブライネが果たさなければならない役割はあまりに大きい。ゴールを奪うこと、前線を幅広く動いて高い位置で攻撃を組み立てること、さらにフェルナンジーニョのいない中盤からダビド・シルバらと連携して効果的にボールを引き出すことなどが求められる。

 アーセナル戦ではそれらの多くを完璧にこなし、フェルナンジーニョやアグエロのいない穴を見事に埋めた。今季のデ・ブライネはどんな時でもチームに欠かすことのできない重要なピースとなっている。

 シティは優勝候補筆頭として期待されながら首位のチェルシーに7ポイント差をつけられている。9月末から10月末まで公式戦6試合勝ちなしが続いたことも影響しているだろう。だが、最も憂慮すべき問題は戦術的柔軟性が高すぎるがゆえに、核となる数人の選手を欠いてしまうとチーム全体のパフォーマンスに大きな影響が出てしまう点だ。

 試合を通じてパフォーマンスが向上しなかったアーセナルの拙攻に助けられた部分もあり、シティは上位争いをする相手に重要な1勝を掴んだ。それでも停滞感を完全に拭えたわけではない。どこかが噛み合わなければ簡単に崩れてしまう怖さがある。

 そしておそらく今後もフェルナンジーニョを始めデ・ブライネやスターリングら主力が離脱することがあるはずだ。そういったピンチをいかに乗り切って勝ちを積み重ねるかがグアルディオラ監督の手腕の問われるところだろう。

(文:舩木渉)

【了】

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