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“サポーター”と“ファン”、何が違うのか? 「愛の深さ」ではない。両者を区別する条件【サッカー用語の基礎知識】

知っているようでよく理解できていない、そんなサッカー用語を普段見聞きしていることはないだろうか。語彙の面からサッカーに迫ることで、より深い理解が可能になるかもしれない。今回は「サポーター」と「ファン」の違いについて考える。(文:実川元子)

シリーズ:サッカー用語の基礎知識 text by 実川元子 photo by Getty Images

サポーターのほうが「好き」の程度は上?

サッカークラブにとって欠かせない存在となっているサポーター
サッカークラブにとって欠かせない存在となっているサポーター【写真:Getty Images】

 私が知人に「サッカー好き」を打ち明けると、「どの選手のファンなのですか?」と必ず聞かれる。

「いえ、特に好きな選手とかはいないんですけれど、ガンバ大阪をずっと応援しています」と言うと、「もしかしてガンバのサポーターですか? それはすごいですね。本当に好きなんですね」という反応が返ってくる。

 何がすごいのだろうか? そもそもファンとサポーターの違いはどこにあるのか? 「好き」の程度でサポーターのほうが上なのだろうか?

 ファンの語源はfanatic=狂信者、熱狂者である。サポーターは支持者、支援者の意味である。狂信的に追いかけているという意味なら、ファンのほうが好きの度合いは高いような語感であるが、ことサッカーに関してはサポーターのほうが本格的にのめりこんでいる感じがある。

 研究社英和大辞典のsupporterの項には、わざわざfootball supporter=サッカーのファン[サポーター]と書かれている。Historical Dictionary of Soccerによれば、「サポーター」という言葉は「サポーターズ・クラブ」という欧州で生まれたサッカー特有のファンクラブの在り方からくる呼び方で、サッカー独自の一つの文化になっている、とある。

 選手やクラブを応援する(ときには非難する)フラッグや弾幕を出し、試合中にチャントを歌い、チームカラーのグッズを身につけ、ホームはもちろんアウェイの試合にもチームとともに遠征する、それがサポーター、というのがHistorical Dictionary of Soccerの解釈だ。だが、それではファンとは大きく違わないのではないか?

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