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アーセナル、ヴェンゲル監督の“ラストイヤー”へ。戦力拡充も後半戦に向け2つの懸念【欧州主要クラブ中間査定】

シリーズ:16/17欧州主要クラブ中間査定 text by 編集部 photo by Getty Images , Editorial Staff

後半戦へ。2つの懸念点

ジルー
アーセナルとの契約を延長したオリビエ・ジルー【写真:Getty Images】

 今季ここまでは好調と言えるアーセナルだが、懸念すべき点は大きく分けて2つある。1つ目は「主力に負傷者を出さないで戦い続けられるか」、そして2つ目は「ジルーの起用法」だ。

 毎年のように話題になるアーセナルの負傷者続出。これが始まるとチームのパフォーマンス低下が止まらなくなり、悪循環に陥っていく。もはや恒例となりつつあるが、今季こそ克服しなければならない問題だ。

 幸い夏にヴェンゲル監督の財布の紐が緩んだおかげで例年になく戦力は充実しており、控えの選手層にも大きな問題はない。しかし、サンチェスやエジル、コシエルニー、ウォルコットといった主力中の主力が離脱するとなれば話は別で、そのダメージは計り知れない。

 チャンピオンズリーグやカップ戦の影響で過密日程になる後半戦は、いかに負傷者を出さないようコンディションを管理しながら起用する選手をローテーションしていくか、ヴェンゲル監督の手腕が問われることになりそうだ。

 そこで浮上するのがもうひとつの問題、「ジルーの起用法」である。EURO出場に伴うオフ延長でチームへの合流が遅れたストライカーは、自らが不在の間に覚醒したサンチェスにポジションを奪われた。

 ヴェンゲル監督も好調の間はなかなかチーム構成を変えられず、ジルーがリーグ戦で今季初めて先発出場したのは年末だった。しかし、途中出場でも要所でゴールを奪う勝負強さはさすがで、年末年始は絶好調を維持している。ヴェンゲル監督もその実力を評価し、つい先日にはこのフランス代表FWと長期の契約を延長したことが発表された。

 アーセナルらしいパス&ムーブのサッカーに加え、今季は縦に速く手数をかけずにゴールまで迫る形も増えている。サンチェスとジルーの爆発力をいかに生かすのか。どちらか1人をメンバー構成と戦術に合わせて使うのか、あるいは併用して互いを生かす道を探すのかが、後半戦の戦い方を決めるだろう。

 絶対に優勝を逃したくない今季。後半戦はひとつひとつの判断に間違いが許されず、ヴェンゲル監督にとってはこれまで以上に慎重な舵取りが求められそうだ。

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