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X・アロンソ、引退へ。リバプールで“イスタンブールの奇跡”を経験した現役選手は3人のみに

text by 編集部 photo by Getty Images

リバプール
イスタンブールの奇跡を経験した選手のほとんどは現役を引退してしまった【写真:Getty Images】

 独紙『ビルト』は18日、バイエルン・ミュンヘンの元スペイン代表MFシャビ・アロンソが今季限りで現役を引退する意向であると報じた。

 X・アロンソといえば、2005年のチャンピオンズリーグ(CL)決勝でミラン相手に大逆転勝利を収めたリバプールの主力メンバーだったことで知られている。もし今季で引退となれば“イスタンブールの奇跡”として語り継がれている歴史的名勝負の証人がまた1人、真剣勝負のピッチを去ることになる。

 12年前、イスタンブールの地でリバプールの一員としてメンバー入りしていた18人のうち、すでに15人がスパイクを脱いだ。X・アロンソを除けば、残るは当時のエースFWミラン・バロシュと控えGKだったスコット・カーソンのみになる。

 EURO2004で得点王に輝いた実績を持つバロシュは、現在母国チェコのスロバン・リベレツに所属している。35歳になって往時の爆発的なスピードは失われてしまい、年々ゴール数も減ってはいるが、精神的支柱としてチームをけん引する。今季は現時点で11試合に出場して1ゴール。うち9試合がスタメン出場だった。

 2005年当時19歳だったカーソンは、イングランド国内で数々のクラブを渡り歩き、2005年に同国代表から初招集を受けた。日の当たる場所でプレーすることは少なかったが、トルコでも経験積み、31歳の現在はイングランド2部のダービー・カウンティに所属している。

 カーソンといえば“イスタンブールの奇跡”と同じ年のCL準々決勝ユベントス戦で、アレッサンドロ・デル・ピエロの至近距離からのシュートを止めたプレーが多くの人の記憶に刻まれているだろう。リバプールでは控えの時期がほとんどだったが、カーソンの貢献がなければ“奇跡”は起こっていなかったかもしれない。

 現役最高齢は38歳のアントニオ・ヌニェスだ。現在はスペイン3部のレクレアティーボに所属し、主力として21試合に出場。そのすべてが先発出場となっている。リバプールでは輝ききれなかったが、母国スペインやキプロスの小クラブを渡り歩き、いぶし銀のプレーで3年連続30試合出場を目指して活躍を続けている。

 他の主力メンバーではスティーブン・ジェラードが昨年限りで現役を引退した。ルイス・ガルシアも昨年前半にオーストラリアのセントラルコースト・マリナーズで半年間プレーしたのを最後に所属クラブがなく、3度目の現役復帰はもうないと見られている。

 ヨン=アルネ・リーセも昨年インド・スーパーリーグで短期間プレーしたのちにピッチを去った。ジブリル・シセも負傷が原因で現役を退いた後、DJをしたりファッションブランドを運営したり、サッカーから離れて第2の人生を歩み始めている。ミラン側でいまも現役を続けているのはアンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティ)とカカ(オーランド・シティ)のみとなった。

 X・アロンソの現役引退報道は一時代の終わりを象徴している。失われないのはあの日、“イスタンブールの奇跡”がもたらしたフットボールの熱狂だけだ。

▽2005年CL決勝リバプールのベンチ入りメンバー

イェルジー・デュデク(2011年引退)
スティーブ・フィナン(2010年引退)
ジェイミー・キャラガー(2013年引退)
サミ・ヒーピア(2011年引退)
ジミ・トラオレ(2014年引退)
シャビ・アロンソ(バイエルン・ミュンヘン所属)
ルイス・ガルシア(2016年引退)
スティーブン・ジェラード(2016年引退)
ヨン=アルネ・リーセ(2016年引退)
ハリー・キューウェル(2014年引退)
ミラン・バロシュ(スロバン・リベレツ所属)

スコット・カーソン(ダービー・カウンティ所属)
ホセミ(2015年引退)
ディートマー・ハマン(2011年引退)
アントニオ・ヌニェス(レクレアティーボ所属)
イゴール・ビシュカン(2012年引退)
ジブリル・シセ(2015年引退)
ウラジミール・シュミチェル(2009年引退)

【了】

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