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柴崎、練習復帰の目処立たず。不安障害の可能性に専門家が対処。ホテルの部屋にこもる日々【現地レポート】

text by ラモン・エルナンデス photo by Getty Images

回復に向け全力を尽くしているテネリフェ

 月曜日を最後に練習を中止した彼の体重は落ちていった。何も知らない島で過ごした最初の2週間で6kgも体重を失うことになってしまった。孤独に過ごしており、周囲の誰とも話をせず関係を持つこともない。チームメートたちの方も彼について何も知らない。

 慣れない環境ですっかり途方に暮れて神経をすり減らし、ある種の不安状態に陥ってしまった。そういった問題を抱え、2月8日水曜日に開かれたチームの食事会にも参加することができなかった。だがテネリフェは10日金曜日に声明を出し、胃腸の問題さえ解消されれば、柴崎は翌週から練習を再開すると述べた。

 だがそうはならなかった。日を重ねても彼の抱える不安が解消されることはなく、代理人であるマネル・フェレールとロベルト佃の2人が13日月曜日にテネリフェ入りしなければならなかった。

 到着した2人はすぐに柴崎の滞在するホテルへと向かい、本人およびテネリフェのスポーツディレクターであるアルフォンソ・セラーノに面会した。柴崎はその会合に数分間参加したあと部屋に戻ってしまい、代理人たちとセラーノは別の場所で話し合いを続けることになった。

 数時間の相談を終えたあとテネリフェは、すでに明らかとなっていた事実を改めて公表せざるを得なかった。クラブはその声明の中で、柴崎が適応に問題を抱えていたことを認め、「精神と肉体の症状」を引き起こしたものが不安障害である可能性について専門家が対処すると述べている。

 現時点で柴崎の練習復帰に具体的な目処は立っておらず、未来は不確定なままだが、テネリフェは彼が回復してチームの一員としてプレーできるよう全力を尽くしている。

(取材・文:ラモン・エルナンデス【テネリフェ/マルカ】、協力:江間慎一郎)

【了】

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