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久保裕也、ベルギー移籍の舞台裏。5戦3得点で示した“助っ人”の価値【海外組の真価~日本人選手の現在地】

text by 舩木渉 photo by Getty Images , Yuya Kubo

移籍4日後のゴールが転機に。チームメイトの信頼獲得

 相手の急所ともいえるバイタルエリアを支配し、チームの攻撃を引っ張ることが久保の仕事であり、その点について監督からの信頼は厚い。その転機は、ヘント加入発表直後のクラブ・ブルージュ戦にあった。

 移籍加入からわずか4日後、ヘントにとって最大のライバルとも言えるクラブ・ブルージュとの一戦に先発出場した久保は、後半に直接フリーキックでチームに先制点をもたらした。この時のエピソードをポゾニール記者が振り返る。

「やはり直接フリーキックを決めたことで大きなインパクトを残した。そんな力があるとは思われていなかったからね。試合後インタビューに応じたキャプテンの(ナナ・)アサレが、ピッチ上で『ユウヤが蹴る』と決めて、監督が『OK、そうしてくれ』と返したというエピソードを明かしてくれた。まさに才能を見せつけるようなフリーキックだった。元々は(ダニエル・)ミリチェビッチがキッカーだったが、その時は怪我をしていた。改めてアサレが言ったんだ。『僕らはユウヤを選んだ。そして決めた』とね」

 このワンプレーでファンのみならず、監督やチームメイトからの信頼を確固たるものにした。

 続くズルテ・ワレヘム戦にも先発出場した久保は、PKで2試合連続となるゴールを挙げている。これも本来は10番を背負うブラジル人MFレナト・ネトが蹴るはずだった。だが、当のネトはあまり調子がよくなく「ユウヤ、お前が蹴れよ」と新加入の日本人FWに大役を譲ったという。

 このエピソードを明かしたポゾニール記者は「ネトはそれまでの2週間ほどで心の底からユウヤのことを信頼するようになったんだろう。今ではチームメイト全員がユウヤのことを見てプレーしている。彼もそれに応えてこれまで経験してきたことや、責任を示しているし、僕たちも彼を信じているよ」

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