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レアルの「BBC」は本当に有効か? 問題山積も最終的に勝利引き寄せるDNA【西部の目】

text by 西部謙司 photo by Getty Images

4-4-2に変えた途端の失点

アスレティック・ビルバオのイニャキ・ウィリアムス
アスレティック・ビルバオのイニャキ・ウィリアムス【写真:Getty Images】

 後半立ち上がりにアドゥリスのヘディングシュートが炸裂、DFがクリアしたがビルバオの圧力が強くなる。右サイドのウィリアムスのスピードを抑えられない。

 えっ、この人もバスク人? と思われるのも当たり前、父親ガーナ、母親リベリア、完全な黒人なのだが、生まれはバスク州。血統ではなくて出生地主義なので、イニャキ・ウィリアムスは完全なるバスク人である。しかし長身柔軟、類い希な俊足は、バスクの山岳ではなく明らかにアフリカの大地が生んだ才だ。バスク代表にとって得難い逸材といえる。

 61分にジダン監督が動く。モドリッチに代えてルーカス・バスケス。フォーメーションは4-4-2へ。ベイルを左サイドに下げて、ロナウドとベンゼマをトップに残す。いつもの運動量増加&バランス再構築策だが、ウィリアムスの脅威にマルセロにベイルを足して対抗しようという意図もあっただろう。

 これでビルバオの右サイドを鎮火して勝利すれば、「やっぱりBBCより4-4-2じゃないの?」と議論が一気に傾くところだが、なぜかビルバオの右サイドはいっそう燃えさかってしまう。

 最初のウィリアムスの決定機はGKケイラー・ナバスのファインプレーでなかったことにできたものの、2分後にはウィリアムスのハイクロスをラウール・ガルシアに折り返されてアドゥリスがゴールした。ウィリアムス無双、ラウール・ガルシア&アドゥリスの制空権、ビルバオのいいところが全部出た。狙いどおりだ。

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